高潮で全損のフェラーリ51台… 海水を浴びた新車のフェラーリはその後どうなる?
「全損」となったフェラーリ51台、本当に全く使えない?
被害の概要としては、ディーラーに置いてあった53台のうち51台が高潮によって「全損」の扱いとなるようです。残り2台は修理などでリフトの上にあって難を免れたということです。ディーラーの公式サイトによると、新車で扱っているリストには以下の車がラインナップされていました。
・812 Superfast
・GTC4Lusso
・488 GTB
・488 Spider
・GTC4Lusso T
・488 Pista
・Portofino
今回、塩水を被ってしまったフェラーリたち、1台平均3000万円としてみても51台ともなると、被害額は十数億円にも達します。これらの車両は全く使えないのでしょうか? フェラーリのメカニック歴20年以上、自らもV8からV12まで一通りフェラーリを乗り継いで、現在はフェラーリやランボルギーニなどのスーパーカーを扱う、ガラ・オートモーティブ株式会社(静岡県静岡市)の営業主任を務める伊藤隆利氏に聞いてみました。
――フェラーリ51台が高潮で全損というニュースをご覧になった時、どう思われましたか?
大変驚きました。過去、国内において正規ディーラーがフェラーリを高潮や火災、なんらかの天災により全損させるような事があったという記憶がないからです。
――実際、高潮(=海水)では、ホントに全損になりますか? パネルごとに洗浄すれば使えることもありますか?
高潮で1mくらいの水没と出ていましたので全損だと思います。フェラーリに限らずですがスーパーカーは非常に車高を低く設計しているので1mの水位なら半分以上は水没することになります。塩害によってCPU(コンピューター)や内装の革製品などはすべてダメになります。長い時間、海水に浸かってしまうことでエンジン内部にも海水が侵入しますので内部はすぐに錆が発生します。こちらもダメですね。パネルごとに洗浄もほとんど難しいと思います。
――正規ディーラーではフェラーリにはどんな保険が掛けられているのでしょうか? 今回の高潮被害によって、51台分の保険は全額支払われるのでしょうか?
ディーラーごとに保険の掛け方は違うと思います。所有車両全車に満額の保険を掛けることは大変な金額になるため、車両ごとに保険をかけてはいないと思います。そのあたりは詳しいことがわかりません。51台の中には、新車納車待ち、展示車、ユーズドカーや、お客様からの修理預かり、またフェラーリジャパンからの預かり宣伝車両(488 Pista)などがあるようですので、車両ごとの対応をすることになると思います。
修理預かりなどで入庫中の車であれば、お客様が加入している保険を使わせていただくなどの方法を選択せざる得ないことも考えられます。いずれにしても、おそらくですが、51台分全額保険支払いは難しいと思います。