ガソリン価格は石油備蓄放出で安くなる?専門家が紐解く価格の仕組みと今後の見通し
最近ニュースで目にする「石油備蓄の放出」。備蓄を出せばガソリン代は安くなると期待しがちですが、現状は少し異なります。本記事では、エネルギー経済を専門とする桃山学院大学の小嶌正稔教授の解説をもとに、ガソリン価格が決まる仕組みや備蓄の役割、そして私たちが今後注視すべきポイントについてお伝えします。
石油備蓄の放出でガソリンは安くなる?専門家が紐解く価格の仕組みと今後の見通し
全国のレギュラーガソリン平均小売価格は、3月30日時点の最新調査で1リットルあたり170.2円となっています。
価格の高止まりが続く中、政府による「石油備蓄の放出」が話題に上ることが増えました。
消費者の視点では、備蓄が放出されれば直ちに店頭価格が下がると思われがちです。
エネルギー経済の専門家である桃山学院大学の小嶌正稔教授に、現在の備蓄状況とガソリン価格決定の裏側、そして今後の見通しについて伺いました。
■備蓄放出と価格への影響
ニュースで報じられる備蓄の放出ですが、それが即座に値下げにつながるわけではないようです。
小嶌教授は「本来であれば備蓄というのは品薄と価格、両方に反映するんですね」と前置きした上で、「しかし今回の場合には末端の価格というもの自体を政府が170円程度、ガソリンの販売価格として決めていますので、備蓄自体は品薄を長期的に見て安心させるための材料になっています」と解説します。
現状の放出は、価格を下げることよりも、市場の供給不安を払拭する役割を担っている側面があります。
そもそもガソリンの店頭価格はどのように算出されるのでしょうか。
これについて小嶌教授は「原油、輸送費、製油所で製品を作るためのコスト、そして保管のコスト、そして営業利益」が関係していると述べます。
さらに「これがガソリンスタンドの営業とコストと営業利益によって結果的にガソリンの価格が決まっていきます」と続け、原油価格だけでなく、輸送や保管にかかる費用、各段階での利益が複雑に絡み合って最終的な価格が形成されることを説明しています。

■日本の石油備蓄の現状
日本の石油備蓄は、国家備蓄、民間備蓄、産油国との共同備蓄の3つに分けられます。
備蓄の中身について小嶌教授は「国家備蓄と共同備蓄は基本的に原油です。それに対し民間備蓄というのは、実際に持っている在庫にある原油と製品、それを合わせて持っています」と語り、民間備蓄は「アバウトに言うならば原油が半分、製品が半分」という内訳になっていると指摘します。
3月29日時点のデータでは、国家備蓄146日分、民間備蓄87日分、共同備蓄6日分の計239日分が存在します。
しかし、すでに放出は進んでおり、小嶌教授によると「3月16日に民間備蓄を70から55に減らしていますので、15日分放出しています。さらに国家備蓄自体を3月26日に30日分、約1ヶ月放出するということになっています」と、一定量が市場に供給される動きになっています。
■今後注視すべき3つの指標
消費者は今後の動向をどう見守るべきでしょうか。
小嶌教授は「現在はガソリン価格でいうと170円程度に全部抑えられています。ですから実際に価格自体が大きく動くことはありません」と現状を分析します。
一方で「政府が170円ではこれ以上やっていけないってことになれば、180円に、190円に順番に上げていくことになるでしょうから、まず第一に政府の動きということになります」と述べ、政府の方針決定の背景にある「原油価格の動き」を見ていく必要があると説明します。
さらに市場の心理面にも触れ、「現在確かに239日あるんですけれども、これが100日を割るってことになりますと、大丈夫かな、かなりいろんな方が不安になるようになりますので、それ自体は本当はガソリンの末端の価格にも反映される可能性があります」と備蓄量の減少が与える影響についても言及しました。
結論として小嶌教授は「原油価格、中東情勢、国の備蓄数量、この3つを見ていくのが一番いいのではないかなと思っています」と締めくくりました。












