メルセデス・ベンツ新型「CLS」に試乗 4ドアクーペのパイオニアはシンプルな造形美
新型CLSは正統派のスポーティセダン
肝心の走り味ですが、なるほどそのスタイルが語るように重心点が低く、地を這うような感覚が印象的でした。「CLS」は、やんちゃなスポーティフィールではなく、ハンドルを切り込んだら切り込んだだけしっかりと反応するといった感覚があり、正統派のスポーティセダンといった印象です。
低めに設定できるドライビングポジションは、サイドドアが高く包まれるような感覚なので、さらに走りを重視したモデルのような錯覚を受けました。
最初にドライブした試乗車は「220d」。新型のディーゼルエンジンを搭載した直列4気筒ターボエンジンです。最高出力は194PS、最大トルクは400Nm、トルクが強烈なので発進した瞬間から力強いです。
ただし、ディーゼルエンジンは少々音が気になります。ガラガラとしたディーゼルエンジン特有のノイズが響きますし、振動も感じます。黒煙を吹くようなことはもちろんありませんが、ディーゼルエンジン特有の振動とノイズが気になる人は、「450 4MATIC」をお勧めします。こちらは直列6気筒3リッターターボのガソリンエンジンだからです。
最高出力は367PSもありますし、最大トルクは500Nmに達します。振動を打ち消しあう完全バランスエンジンですので、サウンドもバイブレーションも滑らかなので、とっても心地いい走り味でした。せっかくの4ドアクーペですから、静かで滑らかなガソリンエンジンの方が僕の好みには近いようでした。
4ドアクーペというジャンルは、これからもメルセデス・ベンツ「CLS」がけん引していくのではないでしょうか。そう思わせるに十分な完成度を秘めていました。
価格(消費税込)は「CLS 220 d スポーツ」799万円、「CLS 450 4MATIC スポーツ」1038万円です。
【了】
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。