斬新「“クーペ”ミニバン」! まさかの「2ドア」×Bピラーレスの“めちゃ広ッ車内”採用! クセ強ッな「個性的なデザイン」も魅力的! V6やディーゼルなど3つのパワトレがあったルノー「アヴァンタイム」って?
近年はミニバン人気を背景に、多彩なモデルが登場しています。そんな中で異彩を放つ存在が、ルノー「アヴァンタイム」です。クーペとミニバンを融合した独自の「クーペスペース」思想のもと、前衛的なデザインと革新的な構造を採用した意欲作であり、今なお語り継がれる一台です。
クーペとミニバンの融合という挑戦
近年、自動車市場ではミニバン人気の高まりを背景に、多種多様なモデルが登場しています。
実用性を重視したものから、デザイン性や個性を追求したものまで、その方向性は年々広がりを見せています。
そうした流れの中で振り返りたいのが、かつてルノーが生み出した異色の一台、「アヴァンタイム」です。

アヴァンタイムは、ルノーが1990年代後半に提唱していた「クーペスペース」の思想のもと、「エスパス」で培われたミニバン技術をベースに、クーペの魅力を掛け合わせるという挑戦から生まれました。
Bピラーレス構造やダブルヒンジ式の大型ドア、広大なガラスルーフなど、他に類を見ない先進的なスタイルを特徴としています。
その車名は、フランス語で「前衛」を意味する「アヴァンギャルド」と、英語で「時代」を意味する「タイム」を組み合わせた造語で、「時代を切り拓く前衛的なクルマ」という思いが込められています。
なお開発は、当時エスパスの生産で提携関係にあったマトラ・オートモビルが担当しています。
そんなアヴァンタイムは1999年のジュネーブモーターショーで初公開され、2001年より欧州市場で販売が開始されました。
日本では約1年遅れの2002年11月に導入されています。生産期間が短かったことから、日本への正規輸入台数は206台にとどまっています。
ボディサイズは全長4640mm×全幅1830mm×全高1635mm、ホイールベースは2700mm。特徴的なボディスタイルは、2ドアクーペの美しさとミニバンの実用性を融合させたものです。
その象徴ともいえるのが、全長1.4mにおよぶ大型ドアです。2軸ヒンジ構造を採用することで、大型でありながら狭い駐車スペースでもスムーズな乗り降りを可能にしています。
また、Bピラーを持たない構造により、サイドウインドウを全開にするとAピラーからCピラーまで遮るものがなくなり、オープンカーのような開放感を実現しています。
室内は5人乗りで、ミニバン由来の設計によりゆとりある空間が確保されています。インテリアはモノトーンの2色で構成され、スイッチ類を極力排したダッシュボードやセンターメーターによって、前衛的な雰囲気を演出しています。ルーフにはガラスパネルを採用し、前席には電動開閉式サンルーフ、後席には固定式ガラスルーフが備えられています。
ボディ後半はエッジを強調した造形で、同時期の2代目メガーヌを思わせる切り立ったフォルムを採用。太いCピラーや個性的なテールライトが、未来的な印象を際立たせています。
パワートレインは、3リッターV型6気筒ガソリンエンジン、2リッター直列4気筒ガソリンエンジン、そしてディーゼルエンジンの3種類を設定。中でも3リッターV6は最高出力210PS、最大トルク285Nmを発揮し、滑らかで力強い走りを実現しています。トランスミッションは5速ATなどが用意され、駆動方式は前輪駆動のみとなっています。
一方で、生産はわずか12か月という短期間で終わりました。これは、マトラ社がエスパスIIIの後継生産を担えなかったことによるもので、結果として生産体制に余剰が生じたことが背景にあります。
総生産台数は8557台にとどまり、市場での評価は決して高いものではありませんでしたが、その希少性と独創的なデザインから、現在では愛好家の間で根強い人気を誇ります。
クーペとミニバンという相反する要素を融合させたアヴァンタイムは、既存のカテゴリーに収まらない発想によって生み出された、メーカーの探究心を象徴する一台といえるでしょう。
Writer: 青木一真
埼玉県生まれ。宅配ドライバーを経験した後に、車中泊関連の記事執筆を開始。現在はフリーライターとして、車メディアに従事している。自動車は輸入車、スポーツカー、SUV、ミニバン、軽自動車の所有を経験。月間3000kmほどを走行している。



























