スバル「新型“ステーションワゴンSUV” トレイルシーカー」どんなクルマ? 「レガシィ並み」の快適性に「WRX STI以上」のパフォーマンス!? スバルファン待望の電動モデルを試す!

スバルの新型電気自動車SUV「トレイルシーカー」とはどのようなクルマなのか、自動車研究家の山本シンヤ氏が、冬の厳しい路面で試しました。

「アウトバック」のように快適だけど「WRX STI並み」のパフォーマンスも!?

 今回はAWDのみの試乗です。パワートレインはアクセル一踏みで「WRX STI」を超える0−100km/h加速4.5秒のパフォーマンスに、「おーっ、速い!」と驚くのはもちろん、その力強さが途切れない“伸び”のある加速はスポーツユニットと呼びたくなるくらい。

 その一方で、普通に使っている時はその力強さが“余裕”に繋がっており、応答性やトルクの引き出し方に滑らかや繊細さを実感。

 スバルのエンジンで例えるなら、「インプレッサWRX」などに使われてきた伝統の水平対向4気筒「EJ20」型ターボエンジンと、4代目アウトバックに搭載されたスムーズな水平対向6気筒「EZ36」型がシームレスに共存しているようなイメージかなと感じます。

スバルの新型電気自動車SUV「トレイルシーカー」
スバルの新型電気自動車SUV「トレイルシーカー」

 フットワークはソルテラと同じかと思いきや、思った以上に違います。

 芯がシッカリしているステアリング系、コーナリングの一連の流れのスムーズさ、背の高いクルマであること忘れるような安定性、プロペラシャフトレスの電動AWDなのに拘束感があるといった基本部分は共通。

 ですが、軽快な動きだけど今回の路面ではややピーキーな動きが顔を出すソルテラに対して、トレイルシーカーはいい意味で「薄皮2-3枚プラス」したかのような穏やかさ(ダルではない)と重厚なクルマの動き、そして路面を問わず特にリアの安定した走りが印象的でした。

 ちなみにソルテラに対し、ホイールベースは共通の2850mm、車両重量はほぼ同じですが、パッケージ変更による前後バランスの変化、リアモーター出力アップによる駆動力の差を考慮したセットアップが、スペック以上の差を生んだのでしょう。

 個人的には「スポーティハッチのソルテラ」と、「グランドツアラーのトレイルシーカー」というくらいの差を感じました。

 それに加えて新AWD制御も効いており、同じコーナーに同じ速度で進入した時に、同じラインを取るのが難しいソルテラに対して、トレイルシーカーは常に同じラインを楽々トレースできました。これはソルテラにも早急にアップデートすべきでしょう。

 もちろん最低地上高はSUVの中でも高めの215mmが確保されているので、深雪での走行もヘッチャラです。

 乗り心地は、特に後席がソルテラと同じホイールベースと思えないほど落ち着いています。

 重箱の隅をつつくと、俊敏さはあるけど若干バネ下の重さを感じる20インチに対して、今回のガチガチ路面でも「乗り心地がいいね」と思える優しさを持った18インチという差はありますが、どちらもファミリーユースで使える快適性だと思います。ちなみにスバルファンが好むのは20インチでしょう。

 試乗の最後にフラットな圧雪路で「VDC」をオフにし、限界を超えた派手な走りも試してみましたが、ドリフト時のコントロール性と自在性の高さは先代のVAB型WRX STIに匹敵するレベルでビックリ。

 個人的には2026年2月、ドライバーの1人として参加させてもらった「スバルゲレンデタクシー」で運用できたら、BEVの愉しさがもっと伝わるのではないかと思いました。

 そろそろ結論に行きましょう。トレイルシーカーはワゴンとしての実用性、グランドツアラーな走り、そしてSUVとしての機動性の高さなどから、BEVを活用した「スバル次世代GT」であるとともに、「どんな素材・どんなパワートレインでもスバル車になる」ということを改めて証明したモデルに感じました。

 個人的にはトレイルシーカーはかつての「レガシィツーリングワゴンGT-B」とレガシィアウトバックが高度に融合したモデルと呼びたいです。

 加えて、筆者(自動車研究家 山本シンヤ)は試乗時に「BEVである」ということよりも「スバル車である」が記憶に残りました。

 つまり、スバルらしさとは水平対向エンジンやシンメトリカルAWDといったハードではなく、“魂”と“ブレない軸”といったハートが重要なんだと。

 そう考えると、今後登場するであろうスバルのBEVモデル、つまり「ジャパンモビリティショー2025」で初公開された「パフォーマンスE STIコンセプト」の量産版にも期待が高まります。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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