あおり運転はどんな状況で起こり得る? あおりの標的にならないための運転術とは
一番右の追い越し車線を走り続けない運転を
高速道路には一部対面通行の場所を除いて、走行車線と追越し車線があります。路肩に近い方が走行車線で、一番右が追越し車線です。そして、あおり運転の多くは追越し車線で発生しています。
本来、追越し車線は、「追越しをするための車線」なので、追越しが終わったら速やかに走行車線に戻らないといけません。走行車線側が混んでいる場合などを除いて、追越し車線を走り続けて良いのはおおむね2キロです。
しかし、実際は走行車線がガラガラに空いていても、追越し車線を走り続けるクルマがたくさん見られます。ちなみに、追越し車線を走り続ける運転は「通行帯違反」となり、道交法第27条には「追いつかれた車両の義務」もあります。追越し車線で後続車に追いつかれたら道を譲らなくてはなりません。
あおりの標的になりやすいのが、この追越し車線を特に遅いスピードで走るクルマです。後続車の状況に気づかない、そもそも追越し車線本来の意味を知らないクルマもいるでしょう。あおるクルマを擁護するわけではありませんが、周囲の状況に鈍感で追越し車線をノロノロ走り続けるようなクルマはあおりの標的になりやすいです。
周りの空気を読む運転を心がける
上手な運転をする人は周囲のクルマの動きに敏感です。前を行くクルマ、後ろを走るクルマのドライバーの姿や表情が見えなくても、クルマの動きや周囲の雰囲気だけで、そのクルマが「どうしたいのか?」「どこに行きたいのか?」が分かるといいます。
ルールを守る走行はもちろん大事なことですが、クルマの運転は前だけを見て法定速度で走っていればいい、というものではありません。先日、筆者(加藤久美子)が東名高速道路を御殿場方面に向かって走っているときに、気になるクルマがいました。追越し車線を微妙な速度(100km/h区間を90km/hくらい)で走り続けており、そのクルマの後ろには何台かクルマが続いていました。
中にはパッシングをしているクルマもいましたが、まったく気づかない様子で後続車は仕方なく走行車線から抜いていました。周りの交通状況を把握し、流れに乗った走りができるドライバーはあおりの標的になることは少ないと感じます。
ちなみに、そのクルマのドライバーを横目にみてみたら、大きなツバがついた(麦わら帽子タイプ)帽子を被った女性がハンドルにしがみつくような姿勢で運転していました。そんな帽子を被ったままでは周囲のクルマの動きに気づくはずもなく、もちろん、安全確認等できないでしょう。