国内販売圧勝のホンダ「N-BOX」 独走が続く人気の理由とは

2018年の国内販売はホンダ全体の50%が軽自動車

 では現行型ならではの魅力は何かといえば、安全装備の充実です。オデッセイなどの3ナンバー車と同じミリ波レーダーと単眼カメラを併用するホンダセンシングを全車に装着して、安心感を高めました。軽自動車で唯一、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールと、操舵の支援機能も備わります。これにより軽自動車でありながら高速道路を走る時の快適性を高めました。

ACCや操舵支援もしてくれるミリ波レーダーと単眼カメラを併用するホンダセンシングをN-BOXは全車に標準装備

 さらに内装の質、シートの座り心地、乗り心地、燃費なども幅広く改善されています。助手席にはグレードに応じてスーパースライドシート(大きくスライドできる助手席)も採用し、使い勝手を向上させています。

 現行型の開発者は「先代型が絶大な人気を誇ったので、プレッシャーも強かったです。そこで現行型は家族の幸せに重点を置き、すべてを見直しました」とコメントしています。それでもN-BOXの主だった魅力は、先代型で確立されました。そこに弾みを付けたのが、現行型で行った改善といえるでしょう。

 以上が車両自体の魅力ですが、売れ行きを伸ばした背景には、ほかにもいろいろな理由があります。

 まずホンダ車のユーザーが、次々とN-BOXに乗り替えていることです。販売店のホンダカーズからは「フリードやその先代型となる古いモビリオ、フィット、シャトルなどのお客様が、一斉にN-BOXに乗り替えています。また保有台数が膨大な先代型からの乗り替えも多いです」といいます。

 そこで2018年1月から7月の販売統計を見ると、国内で売られたホンダ車の33%がN-BOXでした。N-WGNなども含めた軽自動車全体で見ると、ホンダ車全体の約50%に達します。

 逆にフィットは売れ行きを下げて、ライバル車となるアクアの75%程度しか売れていません。フリードやヴェゼルも、設計が古くなったこともあり下がり気味です。ホンダの国内販売はトヨタに次ぐ2位ですから、国内でも成功しているメーカーといえますが、軽自動車への依存度が高いです。ホンダ4輪商品群の中で、N-BOXの魅力だけが際立ち、ほかは精彩を欠いた状態になっています。

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