バイクの「すり抜け」って、実は違反じゃないって知ってた? 法律の”抜け穴”と、それでも危険な本当の理由
まず大前提、道交法に「すり抜け」という言葉は存在しません。多くのドライバーが「すり抜けは違反」と思い込んでいますが、実は道路交通法のどこを探しても「すり抜け」という言葉は出てこないのです。渋滞中や信号待ちのクルマの横をバイクがすり抜けていく行為のことを「すり抜け」と呼び、誰もが共通認識を持っていますが、法律的な定義は存在しません。では、法律はこの行為をどう扱っているのでしょうか。
「すり抜け=常に合法」ではない! 違反になる5つのケースとは
とはいえ、すり抜けに関連して、確実に違反になるケースも複数存在します。
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●ケース1:白い実線や黄色い実線をはみ出した場合
道路の車線には以下の3種類があります。
・白い破線:はみ出しOK・追越しOK
・白い実線:はみ出し禁止
・黄色い実線:追越しのためのはみ出し禁止
そのため、白い実線や黄色い実線をはみ出してすり抜けをした場合は「追越し禁止違反」となり、違反点数2点、反則金7000円(原付は6000円)が科されます。
逆に言えば、破線の場合や実線でもはみ出さない範囲でのすり抜けは、この規定には引っかかりません。
●ケース2:交差点手前30m以内、横断歩道手前30m以内でのすり抜け
道路交通法第30条第38条3項では、以下の場所における追抜き、追越しが明確に禁止されています。
・交差点、踏切、横断歩道、自転車横断帯の手前30m以内の場所
そのため、赤信号で止まっている車列をすり抜けて前に出ようとする場面では、ほぼ必ず交差点の手前30m以内に踏み込んでしまいます。
そうなると「信号で止まってるだけだから大丈夫でしょ」では済みません。
違反した場合は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金、反則金が二輪車で7000円、原付で6000円、違反点数2点です。
●ケース3:先頭車の前に割り込んだ場合
道路交通法第32条は「割込み等の禁止」が定められています。そのため、停止・徐行している車両の側方を通過してその前方に割り込む行為は、明確に違法です。
渋滞をすり抜けて先頭まで出てきたバイクが、先頭のクルマの前に入った瞬間、それは「割込み等違反」に該当。検挙されると違反点数1点、反則金が二輪車で6000円、原付で5000円が科されます。
●ケース4:停止線を越えてしまった場合
ほかにも、先頭に割り込んだ際に停止線を越えてしまうと、さらに深刻な違反が重なります。
赤信号の交差点での停止線越えは「信号無視」扱いとなり、違反点数2点、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金、反則金7000円が科される事に。
つまり、よく見かける「渋滞をすり抜けて信号先頭に躍り出るバイク」の行為は、それだけで複数の違反が重なっている可能性が高いのです。
●ケース5:路側帯を走行した場合
道路の端に引かれた白線の外側が「路側帯」の場合、バイクを含む車両の通行は禁止されています。
理由は、路側帯は歩行者優先のスペースだから。一方、「路肩」であれば違反にはなりません。見た目が似ているこの2つですが、違いは重要です。
路側帯:歩道がない道路の端の帯状区画。歩行者優先、車両通行禁止
路肩:車道の端の部分。バイクの走行は違反にならない
なお、路側帯を走行してすり抜けをした場合は「通行区分違反」として、違反点数2点、反則金7000円(原付6000円)が科されます。
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今回の内容を整理すると、すり抜け自体は道路交通法で明確に禁止されていませんが、それは「すり抜けても許される」という意味ではなく、状況次第で追越し禁止違反、割込み違反、信号無視、通行区分違反など複数の違反が重なり得る違法な行為ということ。
そして何より法的にセーフであっても、事故に遭ったときに致命傷を負うのはライダー自身です。
「すり抜けはOKかNGか」ではなく、「今この状況でのすり抜けは本当に安全か」を一瞬立ち止まって考える。それが、ライダーとしての正しい判断ではないでしょうか。






















