人気は高いが台数減…大衆車は5ナンバーから軽の時代? 排気量課税でも3ナンバーとの区分もなぜ残る?
車両サイズと排気量によって3ナンバーと5ナンバーに区分けされる日本の乗用車。いまや違いはその「枠」だけで、ナンバーによって税金などに格差があるわけではありません。その枠の違いはなぜ存在し、メーカーはこれをどう意識しているのでしょうか。
違いはサイズと排気量の「枠」のみ
日本の乗用車は、ナンバープレートの3桁数字(分類番号)が300番台と500番台、いわゆる「3ナンバー」と「5ナンバー」の区分けがあります。
道路運送車両法において、3ナンバー車は「普通乗用車」、5ナンバー車は「小型乗用車」に分類されています。後者は全長4700mm以下、幅1700mm以下、高さ2000mm以下、排気量2000cc以下のクルマのこと。この条件をひとつでも超えれば普通乗用車に分類され、3ナンバーが付けられます。
サイズが大きく大排気量の高級車が3ナンバー車、というイメージを持っている人もいるかもしれません。実際、1989(平成元)年まで、3ナンバー車は5ナンバー車よりも自動車税が高く設定されていたため、かつては大衆的なクルマといえば5ナンバー車が一般的でした。
しかし現在、ナンバーの分類番号による課税額の差はなくなり、排気量に応じて決められています。ナンバープレート関係の中央団体である全国自動車標板協議会(東京都文京区)の担当者は、「昔は、3ナンバー車は贅沢品とみなされていましたが、5ナンバーとの極端な差が是正されて排気量に応じた課税額になりました。技術の進歩により、排気量が小さくてもいいクルマがつくれるようになったので、現在は3ナンバー車が必ずしも『高級車』というわけではないでしょう」と話します。
貨物車の場合、小型貨物車には「4ナンバー」、普通貨物車には「1ナンバー」がつけられ、ナンバーによる課税額の差はありませんが(おもに最大積載量に応じて異なる)、両者で高速道路料金(通行区分)や自賠責・任意保険の料金も異なってきます。一方、乗用車における3ナンバーと5ナンバーは、車両サイズと排気量に応じて「枠」が決まっているものの、車検の印紙代が3ナンバーは100円増しというくらいで、実質的な違いはほぼありません。
では、3ナンバーと5ナンバーを統一すればよいのでは、と思う人もいるかもしれませんが、全国自動車標板協議会の担当者によると、そのような機運はなかったのではないかといいます。「ひとつには、5ナンバーは軽自動車も使うので(軽自動車の分類番号は580番台および590番台)、課税額の差が是正されたあとも、普通乗用車、小型乗用車という枠はそのまま残りました」とのことです。