5速MT搭載! ダイハツの斬新「“本格”タフ仕様軽トラ」がスゴい! 全長3.4m「カクカクデザイン」×「ジムニー超え地上高」で悪路OK! 画期的荷台を携えた2007年公開「マッドマスターC」コンセプトカーに注目
ダイハツの軽トラックといえば、「ハイゼットトラック」が農業分野などで長年に渡って支持されていますが、実は過去に、一般ユーザーに適したアウトドアギア風のモデルを提案していました。
先見の明があった「MUD MASTER-C」 今登場していれば…
ダイハツ「ハイゼットトラック」は1960年に登場して以来、軽トラックの定番モデルとして特に農業分野で広く支持されてきました。
いっぽう、近年ではアウトドアレジャーの普及により、「趣味の道具」として一般ユーザーが所有するケースも珍しくなくなりました。
そうしたことから、一般ユーザーに適したカジュアルなスタイルの特別仕様車なども登場していますが、ダイハツは今から20年近くも前に、アウトドアギアとしての活躍が期待された、非常に魅力的なモデルを公開していました。
それは、ダイハツが2007年10月に開催された第40回「東京モーターショー」で参考出品したコンセプトカー「MUD MASTER-C(マッドマスターC)」です。
ボディサイズは全長3395mm×全幅1600mm×全高1960mm。全幅のみ軽自動車規格(1480mm以下)を超過しているため、厳密には軽トラックではありませんが、660ccエンジンと組み合わされており「ほぼ軽トラック」と表現できるでしょう。
2007年の公開当時、ダイハツはマッドマスターCについて「小ささと軽さが生み出す高い走破性に加えて、フレーム付ボディの圧倒的な耐久性と積載性をあわせ持つスモール&タフなトランスポーター」と説明していました。
トランスポーターとは、バイクや自転車などを目的地まで運ぶクルマを指し、「トランポ」などの略称でも呼ばれています。特にオフロードバイクやマウンテンバイクといった、悪路向けの競技車両を運搬する事例が多くみられます。
マッドマスターCはまさにこうしたトランポとして設計され、サイクルスポーツ界を代表する鈴木雷太氏との共同企画によって生み出されたのです。

このため、荷台は通常のトラックとは異なる設計となっており、サイクリストがマウンテンバイクを収納してアウトドアへ出かけられるよう多彩な装備や機能を備えていました。
具体的には居住部と連続させたボディ・荷台構造とすることで、軽バンのような積載力を実現しています。
サイドは大型トラックのウイング車のように側面パネルが開く構造となっており、マウンテンバイクを横から積載できるようになっていました。
荷台には「アタッチメントボディ」機構を採用。マウンテンバイクの積載だけでなく、さまざまな用途に対して用意される各種アタッチメントを脱着することで、アウトドアスポーツから過酷地での作業にも適応する、マルチなトラックとして提唱されていました。
日常利用も仕事も趣味も、1台で対応できる汎用性の高さがこのモデルの特徴だったのです。
エクステリアは非常にシンプルにまとめられ、機能性を重視したスクエアなボディが採用されていました。
ただし、コンセプトカーに多い奇抜なデザインではなく現実的なもので、大きくスクエアな前後ライトやフロントグリル、ドアハンドルなどは親しみやすくタフなイメージを与えています。
ボディサイドにはヘッドライトから荷台まで続く太いベルトラインが施され、ワイド感を強調する工夫がなされていました。
足回りは大径16インチオフロードタイヤを装備。フレームシャシと軽量なボディの組み合わせにより、高い堅牢性を確保していたのです。
さらに、最低地上高は本格軽四輪駆動車であるスズキ「ジムニー」ですらを超える、370mmを実現。
悪路においても車体や足回り機構が地面と接しないことを示す3アングル(アプローチ・ランプブレークオーバー・デパーチャー)は具体的な数値こそ公表されていませんでしたが、「余裕を確保」していたとされています。
これにより、マウンテンバイクを走らせるような不整地のフィールドでも十分に走行できる性能を持っていました。
パワートレインについては、前述の通り660ccエンジンを搭載。ドライブシャフトとハブの接続部分には「ハブリダクションシステム」と呼ばれるギヤを組込んだ機構を採用し、高い踏破性能と耐冠水性を実現。本格四輪駆動車と同等の信頼性も備えていました。
詳細スペックは明らかにされず、組み合わされるミッションや駆動方式なども公表されませんでしたが、センターコンソールのシフトパターンから5速MTを採用していたと考えられます。
インテリアは加飾を抑えた非常にまとまりのあるインパネに、撥水素材のシートを組み合わせ、アウトドアでの使い勝手を向上させていました。
ただし商用車のような簡素なものではなく、当時としてはまだ画期的だった大型ディスプレイも備えるなど、一般ユーザーの使用も想定した設計となっていました。
このマッドマスターCは、2007年の公開当時も非常に高い注目を集め、実現可能性の高いデザインやパッケージングから市販化への期待が大いに膨らんでいました。
しかしながら、公開から現在に至るまで、直接的な市販モデルは一切登場していません。
公開から20年近くが経過した現在、コロナ禍をきっかけにキャンプなどのアウトドアレジャーが一般に浸透。さらに、テレワークの促進などから地方への移住や田舎暮らしといった新たな生活スタイルも広がりつつあります。
かつては仕事道具として認識されていた軽トラックが、アウトドアにおける趣味の道具としての新たな価値を見出している今こそ、マッドマスターCのようなモデルが改めて注目される時代かもしれません。
このコンセプトカーの再評価と、現代のニーズに合わせた実用化が待たれます。
Writer: 伊勢崎剛志
自動車販売から自動車雑誌編集部を経て、ライターとして独立。趣味も多彩だが、タイヤが付いているものはキホン何でも好きで、乗りもので出かけることも大好物。道路や旅にも精通し、執筆活動はそういった分野をメインに活動。













































