大容量バッテリーでライバルを圧倒するEV性能 ホンダ「クラリティ PHEV」徹底試乗
エンジンを搭載しているのを忘れてしまうクラリティ PHEV
開発責任者の清水氏はクラリティ PHEVの狙いを、こう説明してくれました。
「粘るEVを目指しました。我慢することのないEVとしてもこだわりました。Dセグメントのセダンとしてきっちり作ったつもりです」
クラリティ PHEVはEV性能を大幅に高めただけでなく、PHEV化によって我慢しなければならなかった弊害、つまり荷室が狭くなることや、走りの性能が悪くなることを改めたのです。そして、急速充電も可能なりました。バッテリーを床下に積むことで、トランクスペースが広くなり、ゴルフバックが4つも詰めるようですし、低重心化にも貢献しているので、走りも悪化させないように開発したとのことです。
実際に走らせると、エンジンを搭載していることなどを忘れてしまうほど、ほとんどの領域でモーター走行が繰り返されます。アクセルペダルを強く踏み込むとエンジンが始動しますが、EV加速はかなり力強いので、エンジンの助けを借りることはほとんどありませんでした。
ハンドリングはそれほどスポーティではありません。ステアリング応答は穏やかですし、フットワークも軽快ではありません。スポーティカーではないので、そのあたりは目を瞑る必要があるかもしれませんね。
ただ、モアパワーを期待するドライバー用に、加速やレスポンスを鋭くするスポーツモードが設定され、回生ブレーキ時の減速感を強くするパドルレバーが組み込まれているなど、ホンダらしい細工にも頬が緩みました。
ボディデザインは特徴的です。近未来を感じさせるためにあえて個性的なスタイルにしたのでしょう。作り込みも近未来的です。
クラリティ PHEVはハイブリッドに充電機能を組み込んだプラグインハイブリッドではありますが、まるでEV車に発電用エンジンを搭載したエンジン付きEV車のような感覚でした。
【了】
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。