いまも「何キロでも」出せるのに“飛ばさない”!? ドイツの高速道路「アウトバーン」で起きている“意外な変化”とは
速度無制限として有名なドイツの高速道路「アウトバーン」。かつては200km/hオーバーで走るクルマも珍しくありませんでしたが、近年その様子に変化が起きているといいます。現地調査で明らかになった「平均速度の低下」と、その背景にある事情について解説します。
渋滞だけが原因じゃない? 「ADAS」と「BEV」が変えたドイツの走り
しかし私は、IWの説明とは違う理由があると考えています。それはADASとBEV(電気自動車)の普及です。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)やLKA(レーン・キーピング・アシスト)といった先進運転支援システムであるADASは、2010年代半ばには、多くの新車に搭載されるようになりました。

以前、私がドイツ在住時に乗っていたクルマもADASを搭載していて、アウトバーンを走るときにはほぼ使用していました。
ドイツ人はクルマ好き、運転好きが多く、かつてはADASに否定的なドライバーが多かったのですが、やはりADASの利便性を一度でも体験すると意識が変化し、今では多くのドライバーがADASの恩恵を受けています。
しかも大きくて速いクルマほど標準で搭載されているのですから、燃費の点でもメリットがあるだけに、多くのクルマがアウトバーンの速度無制限区間でもADASオンで走行しています。
また公道におけるBEVの割合が増えてきたことも、平均速度を押し下げています。最近は航続距離が700kmを超えるようなBEVもありますが、これまでに販売されてきたBEVの多くは、航続距離がそこまで長くありません。
アウトバーン上のSAなどには充電インフラがそれなりに設置されていますが、ドライバーはできれば移動中に充電せずに目的地に到着したいと考えるのが普通です。
そこでBEVのドライバーは、速度無制限区間でもバッテリー残量を気にしながら速度を抑えた運転をするわけです。当然ここでもADASが大活躍します。
このようなBEVが一定の割合で走っていれば、平均速度は確実に低下します。現時点でアウトバーンは、平均速度が低くなり、無茶な運転をするドライバーがとても少ないので、初めて走行する人でも一昔前のような怖さを感じることはないでしょう。
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今後、レベル3以上の自動運転技術を搭載したクルマが普及したり、BEVの充電時間が大幅に短縮されるようなことがあれば、アウトバーンの状況がまた変化するかもしれません。
Writer: 竹花寿実
自動車専門誌やWeb制作スタッフを経て2010年に渡独。ドイツ語を駆使して現地で最新モデルや最新技術、クルマ文化、交通政策などを取材する。2018年に帰国後は、国内をベースに欧州車を中心に各種メディアに執筆。ヨーロッパのサッカー事情にも詳しい。

















































