横から「ドン!」これまでは軽を想定? 今秋から日本の衝突試験も欧米並みへ

近年は非常に自動車の安全性能が注目されるようになってきました。新車購入にあたり、安全性評価も一つの基準になっている方も多いといいます。しかし、日本の安全テストが欧米より甘いともいわれます。

現状は「質量950kg」の台車を時速55キロで衝突

 近年は非常に自動車の安全性能が注目されるようになってきました。新車購入にあたり、安全性評価も一つの基準になっている方も多いといいます。しかし、日本の安全テストが欧米より甘いともいわれます。いったい、どういうことなのでしょうか。

トヨタ「プリウス」の側面衝突試験の様子(画像:JNCAP)

 自動車の安全性を評価する方法の一つに公的機関による実車の衝突試験があります。アメリカやドイツでは1980年前後から、日本では独立行政法人自動車事故対策機構により1995年度から「自動車アセスメント」(Japan New Car Assessment Program:JNCAP)としてフルラップ前面衝突試験、ブレーキ性能試験、1999年度には側面衝突試験の実施も始まり、その結果を車種ごとに公表してきました。

 1999年度から始まった側面衝突試験を以下の内容で実施しています。

(1)原則、運転席にダミーを乗せた静止状態の試験車の運転席側に、質量950kgの台車を時速55kmで衝突させる。

(2)そのときダミーの頭部、胸部、腹部、腰部に受けた衝撃をもとに、乗員保護性能の度合いを5段階で評価する。

(3)平成20年度よりサイドカーテンエアバッグの装備された車両について、展開状況及び展開範囲についての評価を追加している。

 衝突事故で乗員がダメージを受ける事故のタイプとして最も多いのが前面衝突、それに続くのが側面衝突です。側面衝突による事故を実車と台車で再現して衝突安全性能をテストするのですが、その方法は実車の運転席にダミーを乗せ、車両が止まった状態で運転席側に、「質量950kg」の台車を時速55kmで衝突させて行われます。

 この「質量950kg」という台車の重さが、欧米からは日本の側面衝突試験の条件が甘いというのです。どういうことなのでしょうか?

 質量950kgとは、「ぶつかって来る車の重さを950kgに想定している」ということなのですが、950kgといえば、現行車では軽自動車全般(ウェイク、アトレーワゴン、NBOX+など除く)、パッソ、スイフト、バレーノなどが該当します。

 これに対して日本がお手本にしてきた欧州Euro NCAPでは1300 ± 20kg、SUVやライトトラックが多く走っているアメリカの米国道路安全保険協会(IIHS)では1500kgの車両がぶつかってくることを想定して側面衝突試験を行っているのです。

C-HRやプリウスの側突衝突試験を写真で見る(5枚)

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