横から「ドン!」これまでは軽を想定? 今秋から日本の衝突試験も欧米並みへ

これからは「質量1300kg」へ大幅アップ!  日本の側面衝突試験も欧米並みに

 以前から日本の自動車アセスメントでも、「今後はより実車に近い台車や生体忠実度の高い側面衝突試験用のダミーについて検討を行う予定」と公言されており、様々な検討が行われてきたのですが、ついに2018年秋から実車に近い台車にすべく重量がこれまでの950kg→1300kgに大幅アップすることになりました。

より実車に近い形に変更され、幅もワイド化された側突試験の台車(画像:JNCAP)

 この件について国土交通省自動車局の担当者に伺いました。

――なぜこれまで側面衝突は950kgという重さでテストが行われていたのでしょうか

 道路運送車両法の規定により、新型自動車が販売される前に自動車認証審査が行われます。型式ごとに安全・環境基準への適合性について技術上の審査を実施するのですが、その際の側面衝突基準が950kgとなっています。その数字がそのまま自動車アセスメントにも採用されてきた経緯があります。

――2018年秋から欧米並みの1300kgに変わるのですね

 はい。これまでJNCAP側面衝突試験の妥当性について様々な協議が行われてきました。その中で分かったことは2000年~2013年のJNCAP選定車の平均質量は1215kgでした。JNCAP選定車とは、衝突試験の対象として選定する車のことで、販売台数の多い車種等を勘案して選定されます。1215kgに平均乗車人数1.5人分の質量55kg×1.5人=82.5kgを加えると、車両質量+乗員=1297kgとなります。そこで台車の重さを1300kgに設定することになりました。

――他に変更されることはありますか

 あとは台車の形状です。これまでは、ぶつかる面は真っ平な形をしていましたが、より実車に近い形状にバンパーなどを変更しています。バリア形状を変更したことで、車両フロントエンド形状の再現性が高くなっています。また、幅もこれまでの1500mmから1700mmに拡大されており、より実車に近い条件となっています。

※ ※ ※

 日本車の多くは海外でも販売されており、欧米の側面衝突基準で設計されている車も多数あります。実際、ユーロNCAPでは新しいところで日産「リーフ」、スバル「インプレッサ/XV」などが総合的な安全性能評価において最高ランクを獲得しています。

 今後JNCAPの側面衝突基準が950kg→1300kgに大幅アップしても、慌てる国産メーカーは少ないと思われますが、衝突安全においても日本の試験が世界基準となることは喜ばしいことです。

【了】

C-HRやプリウスの側突衝突試験を写真で見る(5枚)

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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