「交通事故死者数」2025年は“過去最少”に! 一方で事故や違反が“深刻”な乗り物って何!? 浮き彫りになった新たな課題とは
警察庁によると、2025年中の国内交通事故死者数は2547人で、統計を取り始めて以降、過去最少となりました。死者数の減少は望ましい傾向といえますが、時代の経過とともに新たな交通課題も発生しています。
交通事故が減少傾向にある一方で、自転車関連事故の占める割合は「横ばい」
警察庁は2026年1月6日、2025年中における交通事故死者数に関する資料を公表しました。同資料によると、事故発生から24時間以内の交通事故死者数は2547人で、統計が残る1948年(昭和23年)以降で最も少なくなりました。
また月別の交通事故死者数の推移をみると、10月~1月頃の秋冬時期にかけて死者数が増加する傾向にあり、2025年中は12月の死者数が290人と1年で最も多い状況でした。
これは秋冬の時期に日没時間が早まって視認性が低下することや、道路の積雪・凍結によって路面状況が悪くなることなどにより交通事故が発生しやすくなるためと考えられます。
さらに65歳以上の高齢者の死者数は1423人で死者数全体の55.9%を占めたものの、人口10万人あたりの高齢者死者数は3.93人となり、過去10年間で最も少なくなりました。
これまでに法改正や自動車の安全運転技術の向上、歩道や信号といったインフラ整備などあらゆる対策がおこなわれ、交通事故による死者数は年々減少しています。これは望ましい傾向といえますが、その一方で新たな交通課題も浮上しています。

まずそのひとつとして、自転車による交通事故や交通違反の課題が挙げられます。
交通事故発生件数は年々減少傾向にありますが、自転車関連事故が全交通事故に占める割合は2020年が21.9%、2021年が22.8%、2022年が23.3%、2023年が23.5%、2024年が23.2%と横ばいの状況です。つまり交通事故件数が減っていても、自転車の事故は減っていないといえます。
加えて自転車の交通違反の検挙件数は年々増加傾向にあり、2024年中は刑事罰の対象となる「赤切符」による検挙件数が5万1564件という状況でした。
なお最も検挙された交通違反は「一時不停止」の2万1833件、次いで「信号無視」の2万1088件、「遮断踏切立ち入り」の3220件でした。
2024年中のデータをみると、自転車関連事故6万7531件のうち自転車側に何らかの法令違反があったのは4万7746件であり、自転車関連事故の約7割を占めます。
自転車は運転免許なしで運転できる乗り物ということもあり、運転者の安全意識の低さに課題があるといえるでしょう。
そして、特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード)による交通事故や交通違反の増加も新たな交通課題となっています。
2024年中は特定小型原動機付自転車による事故が338件発生し、死者1人、重傷者34人という状況でした。
2024年8月には沖縄県内において、60代の男性がレンタルした特定小型原動機付自転車を運転中に転倒して死亡する事故が発生しており、事故当時男性はヘルメットを着用していませんでした。
また特定小型原動機付自転車による交通違反の検挙件数は2024年中、4万1246件にものぼり、そのうち歩道通行といった「通行区分違反」が2万4628件で最も多く、「信号無視」の9838件、「一時不停止」の2643件などと続きます。
SNS上においても、特定小型原動機付自転車の運転者が平気で信号無視をしたり、車体にスーツケースを乗せイス代わりにして乗車したりするといった動画が投稿され、大きな反響を呼びました。
2025年6月には参議院内閣委員会において、立憲民主党の石垣のり子氏が特定小型原動機付自転車の登録数約2万2000台(2024年4月1日時点)に対して交通違反が約1.8倍あるとしたうえで、「違反がありすぎるとしか言いようがない」と苦言を呈しています。
これは自転車の登録台数に対する交通違反検挙件数と比較しても圧倒的に多く、運転者の安全運転意識や交通ルールを守る意識の低さが露呈しているといえるでしょう。
このような状況に対して警察では交通違反の取り締まりを強化しているほか、特定小型原動機付自転車を販売する事業者に対し、利用者への交通安全教育をおこなうように働きかけています。
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自転車や特定小型原動機付自転車はクルマと異なり運転者を保護する機能がないぶん、万が一事故が起きた際に大きなケガにつながるおそれがあります。
安全に乗車するために、各ユーザーが基本的な交通ルールやマナーについて改めて理解することが重要といえるでしょう。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。






















