コンセプトは「タイムレス」ボルボに根付くデザイン哲学の秘密に迫る【PR】

XC90より始まった現行ボルボ・デザインは、全世界で120以上の賞を受賞

2015年に登場したXC90から、ボルボは新世代デザインで統一されている(写真は2019年モデル)

 2010年より、ボルボ・カーズはジーリー・ホールディングスの100%子会社になりました。2004年にフォードに転出していたホルバリーはその直前にボルボに戻っていましたが、2012年よりジーリーのデザイン責任者に異動。新たなデザインディレクターには、VWグループ出身のトーマス・インゲンラートが就任しました。

 親会社となったジーリーはボルボに、プレミアム・ブランドとしての立場を強化するよう望みます。そこでインゲンラートはアウディからマキシミリアン・ミッソーニ、ベントレーからロビン・ペイジという、プレミアム経験豊かな二人をスカウトし、ミッソーニがエクステリア、ペイジがインテリアを束ねる新体制を整えました。

 現行XC90が登場したとき、とりわけインテリアの上質さに驚いたものですが、そこにはペイジの貢献があるのは言うまでもありません。

 なにしろ彼は若い頃、ロールスロイスのビスポーク部門で一品製作のインテリアを担当しており、高級・上質のなんたるかを知り尽くしているからです。

 ボルボはこれまでもインテリアの部材や革素材には上質なものが使われていましたが、どちらかというと素朴な印象がありました。しかし、ペイジが指揮をとったインテリアデザインでは、上質さ・洗練に磨きがかかり、多くの人の目を奪うことになったのです。

 そして2015年に正式に販売が開始されたXC90は、デザインも含めて車両は世界中で高く評価され、実に120以上の賞を受賞することになるのです。

ボルボの「スカンジナビアン・デザイン」を司る3つの要素とは

「流木」を意味するドリフトウッドのパネルは、自然の木本来の温もりと洗練された印象を与えてくれる

 さて、新体制のボルボ・デザインが掲げる「スカンジナビアン・ライフスタイル」ですが、これについて筆者は2019の1月に、ロビン・ペイジより説明を受けています。ちなみに彼は2017年よりデザインディレクターに昇進しています。

 ペイジは「5年前にスウェーデンに引っ越したとき、プロダクトや建築のデザインにスカンジナビアらしさがあることを、あらためて理解した」と語っています。

 そう、ペイジはイギリス人。彼もまた「外国人」としてスウェーデンを観察したのです。地域のデザインの伝統を、彼らは「スカンジナビアン・オーソリティ」と呼びます。

 ペイジはさらに続け「その後もいろいろ学んで、スカンジナビアの人たちのアクティビティが、この地域の文化の大きな部分を占めているとわかった。人々はよく自然と親しむために出かけるし、どこに行くにもクルマを使う」

「スカンジナビアのクリエイティビティにも注目した。ファッションや音楽で、スウェーデンは世界をリードしてきたからね」と語りました。

 オーソリティ(伝統)、アクティビティ、クリエイティビティの3つで、スカンジナビアの人々のライフスタイルが形成されていると、彼らは考えます。

 そしてこの3つをテーマにした3台のコンセプトカーを開発し、2013年から2014年にかけて披露したのです。

ボルボ・デザイン それはスウェーデンが歩んできた歴史そのもの

「ファンキー」をキーワードに、「イングリッシュ・ブルドッグ」をモチーフとしてデザインされたXC40 活発で親しみやすい印象だ
1973年型のP1800 ES 今でもこのデザインが参考にされることもあるという

 2013年の東京モーターショーにも展示されたコンセプト・クーペは、スカンジナビアン・オーソリティを体現したもの。より具体的に言えば、1960〜1970年代のP1800クーペからインスピレーションを得たデザインであり、それがS90やS60へと発展したのです。

 コンセプト・XCクーペはスカンジナビアン・アクティビティをテーマとし、そのデザイン要素がXC90やXC60に受け継がれています。

 コンセプト・エステートはスカンジナビアン・クリエイティビティを表現。これがV90やV60のデザインにつながっており、XC40の快活なデザインは、アクティビティとクリエイティビティを兼ね備えるものです。

 前述した「変わらぬ何か」を、どこにどう見出すかは、そのときのデザインのトップの考え方次第ですが、インゲンラートやペイジもボルボの歴史を尊重し、地域の特性を踏まえてデザインを生み出しているのです。

 新世代ボルボのデザインが多くの人の目を奪う理由。それは、決して豪華絢爛ではないが、長く愛せる落ち着きのある造形と、厳選された上質な素材使い。そして決して変わらない基本理念「安全」を現代風に表現したトータル・デザイン性の高さではないでしょうか。

「変わらない」と言えば、デザイナーがしばしばP1800に言及するのも変わりません。C30に始まって、V40でもS60でもコンセプト・クーペでも、「P1800を振り返った」と聞きました。ならば、いつの日にかP1800のようなクーペが登場することを筆者は期待したいと思っています。

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