チームJAOSのラリーレイド用ハイラックスが“新型顔”でシェイクダウン!【PR】
オープンカントリーR/Tが見せた優れたコンロール性能
今回のシェイクダウンにあたって、チームJAOSとTOYO TIRESタイヤチョイスに関する事前テストをおこなったといいます。本来ならば、AXCR2020は2020年の8月上旬から中旬にかけて開催される予定でしたが、コロナ禍の影響により、とりあえず今年12月に延期。その結果、熱帯性気候のタイは乾期に入ることがわかりました。
当初の段階で、ハイラックスに履かせるタイヤはオープンカントリーM/TとオープンカントリーR/Tの2モデルに絞られましたが、レースでは乾燥した赤土のダートステージが大半を占めるという判断から、最終的にはR/Tがチョイスされたということです。
お伝えしたように、シェイクダウンはウォータースポットができにくい火山灰地層の旧浅間高原自動車テストコースでおこなわれましたが、ここの路面は比較的タイのコース状況に似ているということで、ドライバーの能戸選手はタイヤの感覚が掴みやすかったようです。
さて、忙しい撮影の合間をぬって、能戸選手の助手席でチームJAOS・ハイラックス2020に同乗できる機会を得ました。他のレースマシン同様に、タイトで硬いフルバケットシートに6点式シートベルトで固定されての同乗体験。しかしまず驚かされたのは、サスペンションの減衰力に大きなキャパシティがあり、乗り心地が非常にいいということです。
お伝えしたとおり、旧浅間高原自動車テストコースは火山灰が滞積したコースで、比較的柔らかい路面ですが、雨水による深い轍を越える際は、やはり車体には路面からの大きな入力が入り、越えた後は車体全体が飛び跳ねます。しかし、そうした車体への大きな衝撃をサスペンションがうまく処理していることがわかります。
写真を見ていただければわかりますが、通常はこうしたレーストラックは線径が太く長いバネを装着し、太いダンパーを複数付けるというのがチューニングのスタンダードになっています。
しかし、あくまでも「市販車ベース」にこだわったチームJAOSのハイラックスは、サスペンションの構造はノーマルと同じ。つまりひとつのバネにひとつのダンパーなのです。
もちろんフロントスプリング&リアリーフスプリングのバネレートも十分に考えられていると思いますが、とくに利いているのが特製のKYBダンパーのようです。
ソフトにハーシュをいなした後に、タイヤのトラクションを逃がさないように素早くリバンプ側の減衰力を発揮させている印象がありました。これなら長時間のドライブでも疲れにくいですし、同時にハイラックスのリニアなハンドリングも実現しています。
シャープなハンドリングという点でいえば、オープンカントリーR/Tがそれに寄与している割合は非常に大きいのではないでしょうか。オープンカントリーR/Tは、舗装路性能重視のオールテレーン系と、未舗装路性能重視のマッドテレーン系のタイヤの両方の性能を併せ持つ、オープンカントリーを代表するハイブリッドタイヤです。
トレッドデザイン、いわゆるタイヤの顔がそれをよく現しています。センタグルーブにはランドエリア比の高い舗装路向きのパターンを配し、両ショルダー側には未舗装路面へのグリップや排土性を重視したシーエリア比の高いパターンを採用。まさにハイブリッドな2つの顔を持っているのです。
能戸選手によれば「水気の多い泥ではオープンカントリーM/Tの方がトラクションを発揮しやすいが、乾燥路面ではR/Tの方が扱いやすい」ということでした。その言葉どおり、旧浅間高原自動車テストコースを走っている際も、ドリフトに入る際のステアリングワークやブレーキング操作が非常に少ない印象で、ハイラックスの頭がスッとコーナーに入っていく感じで動いていました。また、テールスライドしてからのグリップ回復も素早く、能戸選手がストレスなくドライブしていることが窺えます。
「僕がハイラックスをドライブするようになってから、パターンをテストしてきましたが、TOYO TIRESのオープンカントリーは非常にコントローラブルなのが特徴です。マシンを動かす上で、余分な操作が大幅に減少したことは、長丁場のラリーレイドでは大変助かります。今回は12月の乾期を考えてRTをチョイスしましたが、雨期のコースであればMTが優れた性能を発揮してくれたと思います」と能戸選手とオープンカントリーR/Tに確かな手応えを感じたようです。
このままコロナ禍が収束の方向に向かえば、AXCR2020は12月に開催される予定になっています。マシンの大幅なアップグレード、そしてTOYO TIRESとのコラボレーションによってさらに戦力増強を果たした、チームJAOS・ハイラックス2020。その活躍ぶりを、ぜひ平和になったタイの地で見てみたいものです。
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。