EV新生活 アウディ「e-tronスポーツバック」と1週間過ごした ~日常編~【PR】
力強い走りを生み出す前後モーターによるクワトロ(4WD)
自宅の近所には坂道も多いのだが、坂の下で一時停止をしてから上っていくというシチュエーションで、EVの底力を見た気がした。
アクセルペダルを踏み始めるとICE(内燃機関)の加速力とは別の太いトルクで、クルマを前に押し出してくれる。
モーターは極低回転から最大トルクを出すことができるが、まさに坂道を坂道と感じることなく加速していく。前後のモーターは後ろ側が大きな力を出すことができるから、上り坂で加速というケースでは後輪に荷重が大きくかかり、後ろのモーターがその能力を発揮できる。
一般道でも高速道路でも感心したのは、e-tronの回生能力は高いが、それをやたらと使うことなく実際の航続距離を伸ばすようにプログラムされているということ。
Dレンジで走行し、アクセルをオフ(全部戻す)にすると、回生せずにセーリングモード(惰性で走る状態)になる。このときは2.5トンの車重が効いて、あまりスピードが落ちずにそのまま走っていく。このときは電気を使うこともなく、回生することもないから、バッテリーの電気量は変化しない状態でかなりの距離が走れる。
さらにすごいのは、前方にクルマがいて徐々に近づいていくと、そこで回生が働き、少しずつスピードを落としていく。そして先行車が加速していくと、回生をやめてセーリング状態に戻るのだ。ADAS(先進運転支援システム)はフル装備でレーダーもカメラも付いているから、それをうまく役立てている。
ハンドルの裏にはパドルが付いていて、左側を引くたびに回生が強くなり、右側を引くと回生は弱くなる。つまりエンジンブレーキのような感覚で運転できるのも楽しい。
高速道路やホテルなどでの充電は、契約したカードさえ持っていればとても簡単だ。充電器の画面で指示されたとおりに操作すればいい。e-tronの充電口は、右側(運転席側)は200Vの交流用で、左側は急速充電のCHAdeMO用になっている。間違えて200Vの充電口の蓋を開けてしまったら、CHAdeMO側の蓋を開けるボタンを押すと200V側の蓋が自動的にしまってからCHAdeMO側が開くようになっている。かなり凝ったプログラムになっている。
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いままでは重量級のSUVに乗るならディーゼルエンジン車が良いと思っていたが、e-tronでモーターの力強さを体験してしまうと、EVも良いなと思い始めた。ただディーゼルのメリットは航続距離の長さだ。ほとんどのSUVが800km以上は走れるから、EVの2倍の距離を給油しなくても走れる計算だ。
それでもEVで長距離ドライブができないわけではない。400km以上は走れるのだから、高速道路なら充電中は休憩時間にあてれば、それほどのロスにはならないと思う。
これからは電動化の時代といわれ、純粋なEVも増えてくるはずだ。いまでもe-tronのライバルとしては、メルセデス・ベンツ「EQC」やジャガー「Iペイス」などがいる。
それぞれに個性があるが、e-tronは実際の走行で気持ちよく走れるように、相当深いところまで考え抜かれてつくられているから、飽きずに乗ることができるだろう。
Audi e-tron Sportback 1st editionバーチャルエクステリアミラー仕様車
・車両本体価格(消費税込):1346万円
・全長:4900mm
・全幅:1935mm
・全高:1615mm
・ホイールベース:2930mm
・車両重量:2560kg
・電動機最高出力:300kW
・電動機最大トルク:664Nm
・駆動方式:4WD
・変速機:1速固定式
・一充電走行距離(WLTCモード):405km
・サスペンション前/後:ウイッシュボーン/ウイッシュボーン
・ブレーキ前/後:ディスク/ディスク
・タイヤサイズ:265/45R21