ダカールラリー2024に向けてモロッコで初テスト! トヨタ「ランクル300」の仕上がりと“世界一過酷なラリー”に挑むタイヤとは【PR】
2023年1月にゴールを迎えた「ダカールラリー2023」では、チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)のトヨタ「ランドクルーザー300」が市販車部門でデビューウィン、チームとして10連覇を達成しました。TLCはすでに次回のダカールラリーに向けてランクル300のさらなるブラッシュアップのため開発を続けています。モロッコでのテストを終えたドライバーの三浦 昂選手に話を聞きました。
アフリカ大陸モロッコでの開発テストは連日40度の暑さ
「ダカールラリー2023(以下ダカール2023)」で、市販車部門1位&2位で完走を果たしたトヨタ車体「チームランドクルーザー・トヨタオートボデー」(以下TLC)が、次回の「ダカールラリー2024(以下ダカール2024)」でさらに上位を目指すため、モロッコでテストを行いました。
TLCのドライバーで、トヨタ車体社員の三浦 昂選手は、今回のテストの目的を以下のように語ります。
「形の上では市販車部門1位&2位となったダカール2023ですが、実際はデイリタイア、つまり『その日の競技区間を途中で離脱した場合、ペナルティタイムを加算された上で翌日以降の競技を続行することができる』というルールに救われての完走でした。
ですのでダカール2024では“ルールに助けられない、本当の意味での完走”を目指す強い気持ちを抱いています。今回のテストは、その目標に向け、前回がデビュー戦となった300系ランドクルーザー(以下ランクル)ラリー仕様車の改良、タイヤとのマッチングを試し、戦闘力をさらに高めることが目的です」
テストが行われたモロッコは連日40度という暑さ、それでもほぼ例年並みの気候とのことです。
「夏のモロッコらしい暑さです。ただ私自身『あれ、ラリーカーの車内ってこんなに暑かったかな?』って、ちょっと意外に感じたんですよね(笑)。じつはダカール2023は涼しくて、しかも夜になると0度近くまで冷え込み、ダウンジャケットが必要なくらいでした。それで身体が“寒さ慣れ”してしまったのかもしれません」
ダカール2023に参戦した300系ランクルには、大小多くの課題が見つかりました。とくに今回のテストでは、吸気まわりとサスペンションの改良が大きなテーマでした。
「エンジンの排気量の違いによる性能差を埋めるため、『リストリクター』という吸気制限パーツの取り付けが義務づけられるんですが、300系ランクルで初めての参戦ということもあり、このリストリクターの取り付け方が原因で予想以上に埃(ほこり)を吸い、それがトラブルにつながっていたんです。そこで形状や位置を見直すことになりました。
サスペンションは、ショックアブソーバーの取り付け位置を、レギュレーションが許すギリギリまで上に変更しました。これは飛び石によるダメージを避けるとともに、ブッシュを介しサスペンション下部につながるところでのねじれを少なくして耐久性を高めることを目的としています。前回のダカール2023で想定以上の耐久性が求められることが分かりました。今回は実戦経験も踏まえた上での改良ということになります」
またこれらハードウェアだけでなく、ソフトウェアのアップデートにも取り組んでいるそうです。
「エンジンはツインターボなんですが、その制御は市販車両とは異なるラリー専用のコンピューターで制御しています。このラリー専用プログラムにおいて、ふたつのターボの切り替わりのタイミングでトルクが落ち込むことがあり、ひとつ下のギアへシフトダウンしないと必要なトルクが得られないことがありました。ここの制御ソフトを改良することで、同じギアでもじわっとトルクが出せるようになり、格段に運転しやすくなっています。『どのギアにするか』に神経を使うことなく、アクセルワークだけで走れるようになれば、ドライバーの負担は軽減し、それだけ“楽に速く”走れるようになるんです。そのほか、トランスミッションの変速プログラムも見直しを続けています」