燃費だけで語れぬルノー「ルーテシア E-TECH ハイブリッド」の走らせてみてわかること【PR】
燃費の良さと共に語られがちなルノー「ルーテシア E-TECH ハイブリッド」。しかしこのクルマの本質は、ドライバビリティと住環境にあるといってよいかもしれません。実際に走らせてみて初めてわかる上質さがそこにありました。
「輸入車燃費ナンバー1」だけではない「ルーテシア E-TECH ハイブリッド」
真夏の太陽が照りつける日々に少々辟易としていた某日、早朝の都内。見上げた青空はすでに眩しく、朝の日差しを浴びた灰色のビル群の足下、アスファルト上を夏空の青よりも強く鮮やかなブルーアイロンメタリックを纏った「ルーテシア」が、路面をとらえるタイヤの音をわずかにさせながら走り抜けていった。実にクールで清々しい眺めだった。
ほどなくして、そのコンパクトカーの運転席に座る。ドライバーを取り囲むようにレバーやスイッチがシンプルに配置され、コンパクトに効率よく操作できるスマートなクールさも良い。先ほど観た清々しい走行シーンを自らの走りに重ねながら、静粛で俊敏、滑らかさも併せ持つ「ルーテシア E-TECH ハイブリッド」で都心から郊外へと向かった。それは実に爽快だった。
2020年の秋に登場したルノーの主力コンパクトカーである「ルーテシア」に、フルハイブリッドモデルが追加投入された。「環境規制の高まりを受けて燃費重視の実用コンパクトカーを狙って開発されたのでは?」と思われるかもしれない。確かにそれも間違いではない。2022年8月現在、25.2km/L(WLTCモード)という燃費は輸入車ナンバー1だそうだ。
しかしそこはルノー。ルーテシアは2020年のフルモデルチェンジによって、プラットフォームやパワートレーンなどの全てを刷新し基本性能も大幅に向上した。ルーテシアのハイブリッドモデルはそれらをベースに、「E-TECH HYBRID」という新たなエネルギーマネージメントシステムを搭載し、新たなドライブフィールを持つモデルとして誕生している。
それはメインモーターとサブモーター、1.6Lエンジンを組み合わせ、電子制御ドッグクラッチマルチモードATを組み合わせたハイブリッドシステム。エネルギーマネージメントには、F1開発にも用いられるシミュレーションをもとに開発されたソフトウエアを、このE-TECH HYBRIDに採用しているそうだ。
走行モードは「100%EVモード」「ハイブリッド、すなわちエンジンとモーターで走り、同時に充電も行う」「基本的にエンジンのみで走るエンジン走行モード。追い越し時などはモーターも加わり、瞬発力や加速力を高める」の3つ。これらの仕組みを繋げたり切り離したりするのが、電子制御ドッグクラッチマルチモードATで、伝達効率に優れるトランスミッションだ。
いつまでも走リ続けたくなるその乗り味をもたらすものは
街中からスタートした試乗は、運転の面白みという意味では1枚落ちるシチュエーションながら、いつまででも走っていたくなるほど満足度の高いものであった。その中心はモーター走行だ。
ルーテシア E-TECH ハイブリッドはモーター走行の俊敏さや力強さ、速度コントロールのリニアさを得て、ルーテシア本来の持ち味である軽快な走りが質を高め一層、際立っていた。モーター走行という静粛ななかで感じられる走りの軽快さは、タイヤの存在感を感じつつ乗り心地も良い。モーターの動力を滑らかに路面に伝える乗り味の質にも気を配っていると想像できる。
軽快さはペダル操作のみならず、ステアリングフィールもともに感性品質を整えているであろう、その効果でもある。軽い操舵感のステアリングは、交差点を曲るような場面やコーナーでは手応えを感じさせるものへとリニアに変化する。
とにかく、普通に加速をするだけで、交差点を曲るだけで、気持いいのだ。このような操作質感の与えられたルーテシア E-TECH ハイブリッドの爽快軽快なフィーリング、静粛さのなかに宿るエモーショナルさが、運転好きをもくすぐるところではなかろうか。
一方でルーテシアは、デザインやサイズ感、パッケージング、人間工学に基づくインテリアの装備の機能性や質感も魅力のモデル。そこにハイブリッドならではの経済性を加えたいという向きにとっては、「とても静かで走りやすい、EVのようなハイブリッド」といえるだろう。街中を走っただけで結論めいたことを述べたくなるとは思ってもみなかった。
エンジン走行も「主役」
まるでピュアEVモデルのようなインプレッションから始まってしまったけれど、これはハイブリッド車なのだ。時おり、充電のためと思われるエンジンの始動で、これがハイブリッドであると気づかされる。とはいえそのエンジンについても、始動時こそアクセルペダルにわずかな振動はあるものの、明らかにエンジンが作動しているとわかる音は整えられているようで、決して耳障りではない。
今回は約1.5時間、街中を走行したなかで、充電が目的と考えられるエンジン始動は3回。しかもかなり短時間で再びモーター走行に戻っていたことを考えると、ルノーのフルハイブリッドシステムは走行性能のみならず発電/蓄電能力やマネージメント性能にも優れているといえるだろう。「ルーテシア E-TECH ハイブリッド」は、街中ではモーター走行が中心。これなら日常使いで燃費にも期待ができそうだ。参考までに試乗をしながらの燃費は21.3km/lだった。
高速走行でも爽快さや軽快さはそのまま。40km/hから80km/hの中速域で加速を続けるとエンジンが始動するものの、首都高速の速度域では渋滞時も含め静粛なモーター走行がメインだった。
一方で80km/h以上の巡航はエンジンが中心。エンジンを主とした走行シーンでは、力強い加速性能はもちろん、わずかな振動や音が内燃機関の躍動感をドライバーへと伝えてくれる。いわゆる「ハイブリッド車」は動力にエモーショナルな魅力が希薄な印象もあるなかで、ルーテシア E-TECH ハイブリッドはエンジンもモーターも、どちらも主役になり得る。
ちなみにこのハイブリッドシステムは、130km/hで設定されたフランスの高速道路を想定したとのこと。つまり日本の道路にもほぼ適した仕様というわけだ。
それは足下でもわかる。路面の繋ぎ目などでは、サスペンションの伸縮はわかるものの、乗り心地には影響なし。ランプウエイでは軽やかにしなやかに四輪が路面をとらえ、美しいコーナリングにニヤッとしたが、これはドライバーの技量ではなくルーテシアのおかげだ。
その走り 静粛で軽快 滑らかで爽快
ところで、ルーテシアには7インチのタッチスクリーンがセンターパネル上に配置されている。オーディオや運転モードやエアコン、アンビエントライトなどをここで操作するほかに、スマートフォンを繋いで使い慣れたナビやお気に入りの音楽、通話機能などを利用できる。ふたつある充電ポートや、接続したスマホを置いておくスペースなど、ちょっとした気遣いが室内の使いやすさ過ごしやすさを感じさせてくれるのも、ルーテシアの特徴のひとつだ。
今回は筆者のスマホを接続し、アプリのナビを使って昨年の夏に所沢にオープンしたヨーロッパ風の建物が素敵なカフェを目指した。「LA SYMPHONIE」(ラ・サンフォニ)の特徴的な白い壁にブルーのルーテシアがよく映える。店内は浮き抜けで開放感があり、ウッド製の家具やガラスのアンティークなどの調度品で揃えられている。
オープンテラスも素敵だ。こちらではティータイムはもちろん、モーニングやランチも緑の中でいただける。今回は地元の名産狭山茶ティラミスとオリジナルオーガニックコーヒーで、優雅な一息を堪能できた。
オーナーになったなら、システムがどのような制御をしているかなど考える必要はなく、ルーテシアハイブリッドも人知れず運転環境を整えてくれる。静粛で軽快、滑らかで爽快。こんなコンパクトカーとなら長距離ドライブの疲労度もきっと違うだろう。それに最新の先進運転支援システムのサポートもある。
「ルーテシアE-TECHハイブリッド」は、後にルノーの電動化モデルの第一世代モデルと呼ばれることになるのだろう。ルノーといえば内燃機関を搭載する「RS(ルノースポール)」モデルの大ファン(「トゥインゴ」もだが)である私。そんな私もこの完成度、魅力には驚かされた。そして今後ますます世の中で電動化が進むなか、ルノーの電動化の未来にちょっと、いやかなりワクワクしている。