「乗り心地がよくて快適ですね！」目的地に向かう道中、松田さんがそんな感想を口にしました。

　レヴォーグといえばスポーティな走りのイメージもあるので、なかには足回りが硬めのクルマと思い込んでいる人もいるかもしれません。でも、実はそうではないのです。

　強固なプラットフォーム（スバルグローバルプラットフォーム）の採用やボディ剛性を高めつつ軽量化にもつながる「フルインナーフレーム構造」といった設計のおかげもあり、レヴォーグは走行中の不快な振動をとにかく低減。加えてしなやかに動くダンパーの効果もあって、段差を乗り越え時の路面からの突き上げをしっかりと減衰してくれるから乗り心地は上質で、ロングドライブでも疲れ知らずなのです。

　さらに、今回試乗したグレード「STI Sport EX」にはスバルのカタログモデルとしては初となる電子制御ダンパーを採用※。クルマのセンサーからの情報をもとに減衰力特性（硬さ）をリアルタイムで最適化するこのダンパーは、前輪が路面の凹凸を検知すると瞬時に減衰力を弱めて衝撃を吸収するといった機能も持っています。

　そのため、減衰力が一定の標準仕様よりもさらに乗り心地がいいという訳です。

　もちろん優れているのは乗り心地の良さだけではなく、直進安定性の高さも優れているため、自動車専用道路を走行中でもハンドルの微修正が少なくて済み、長時間運転した時の疲れにくさにも直結します。

※走行モードの切り替えができるのはSTI Sport／STI Sport EXのみとなります

　スバルといえば衝突被害軽減ブレーキなどを組み合わせた先進の安全運転支援システムである「アイサイト」が有名ですが、新しいレヴォーグでは、そんなアイサイトがメカニズムや制御を全面的に刷新して次世代版へと進化しています。

　衝突被害軽減ブレーキが性能をアップして、より“ぶつかりにくく”進化しているのは言うまでもありませんが、緊急時ではなくても実感できる高性能があります。それが、グレード名に「EX」とつく仕様に備わる「アイサイトX」です。

　アイサイトは従来モデルのレヴォーグにも装備されており、自動車専用道路での速度調整や渋滞時の停止保持、そして車線をキープするようなハンドル操作をハンドルに手を添えるだけでアシストしてくれるなどの機能を組み込んでいました。

　加えて新型の「アイサイトX」では、車線位置などの道路情報を持つ3D高精度地図データとGPSなどの情報を組み合わせることにより、自動車専用道路でカーブがあるとその曲がり方に合わせて適切な速度に抑える制御や、料金所があると安全に通過できる速度まで減速してくれる機能を新搭載。

　さらにドライバーがウインカーを操作するだけで車両がハンドルをコントロールして車線変更を行う先進的な機能、そして一定時間ハンドル操作がないなどのドライバーの異常を検知し、警告のあと徐々に減速・停止をしてハザードランプやホーンで周囲に異常を知らせるなどの緊急時支援システムが新たに追加されており、それらはもちろん市販車の中でもかなり先進的なものになっています。

　高速道路を降りたあと一般道を走り、いざ峠道に入ると松田さんから新たなる驚きの声があがりました。「まるでスポーツカーみたい！」と、その走る楽しさをひしひしと感じたようです。

　ハンドルを切るとスッとクルマが反応して向きを変えるキビキビ感がその大きな理由。加えて、ハンドルの舵角がしっかりと決まり旋回中の微修正が極めて少ないこと（これは旋回時のゆがみが少ない車体やタイヤの接地性の良さに起因する）、さらにスムーズで反応遅れがないステアリングフィール（2ピニオン式の電動パワーステアリングのメリット）などもレヴォーグの爽快な走りの秘密といえるでしょう。

　通常走行や高速道路では快適で疲れ知らず、峠道では楽しく運転できる。そんな2つのキャラクターを持ち合わせた点もレヴォーグの魅力だと再認識します。

　峠道の頂上に着くと、さっそく自転車2台をクルマから降ろして峠サイクリングを楽しみました。普段あまり運動をしない筆者ですが、今日は松田さんに頑張ってついていこうと必死にペダルを漕ぎます。

　ダウンヒル、ヒルクライムを存分に堪能したあと、レヴォーグの元に戻ってきてスポーツドリンクを一気飲み！　すると、普段の生活では感じることのない爽快感と達成感に包まれ、「あぁ、スポーツっていいなぁ」としみじみ感じます（笑）

　気がつけばすっかり日が落ちてしまい、これからは来た道を帰って行く訳ですが、自転車で使い果たした二人の脚はガクガク。

　しかし、そんな時でもレヴォーグに装備されたアイサイトXが役立つのです。

　帰路の高速道路は渋滞をしていましたが、こんな時こそアイサイトXの本領発揮というところでしょう。

　アイサイトXには「渋滞時ハンズオフアシスト」として、自動車専用道路での渋滞時（約50km/h未満）に、一定の条件を満たすと運転中にステアリングから手を放せる機構も搭載。これは日本初採用ではありませんが、これまでは約500万円以上のクラスのクルマにしか搭載されていませんでした。

　しかしレヴォーグでは、税込み348万7000円（「GT EX」）と300万円台中盤の仕様から用意されているのが大きなトピック。ハンズオフ機能をグッと身近な存在にしたのです。

　特に、今日のサイクリングのように脚を酷使したスポーツの後は渋滞でのペダルの踏み替えは多くのドライバーにとって本当に嫌なもの。

　しかし、アイサイトXがあれば渋滞時でもアクセルとブレーキの操作をクルマがサポートしてくれるうえ、ハンドルから手を放すことまでできるので、レヴォーグであればレジャーの相棒としても最適だとしみじみ感じました。

　いま、コロナ禍もあってクルマの良さが見直されています。

　密を避ける移動手段としてクルマを利用する人が増えているほか、キャンプなどのクルマで出かけるアウトドアレジャーの人気も急上昇。

　それに伴い、今回のサイクリングのようにクルマに色々なものをたくさん積んで郊外へ出かけてレジャーを楽しむ人も少なくないでしょう。

　そんな人たちには、荷室が広くて実用性が高いうえに移動が快適なクルマが最適です。今回、改めてレヴォーグに乗ってみたら、まさにそんなシーンでの最高のパートナーになってくれることを実感することができました。

［Text：工藤貴宏　Photo：土屋勇人］