「リッター111キロ」走れる! 究極の「2ドアスポーツカー」がスゴい! 全長3.9mで700kg「超・軽量ボディ」採用! 2気筒エンジン搭載のVW「XL1」に注目!

フォルクスワーゲンは、かつて1リッターで111kmを走行する超低燃費のクルマ「XL1」を販売しました。どのような特徴を持つのでしょうか。

驚愕のVW「超低燃費車」

 ハイブリッドカーが一般に浸透したいまでも、さらなる燃費性能の追求は続いています。しかし、PHEV(プラグインハイブリッド)車であっても、リッター100kmを超えるものは存在しません。

 しかし、実はフォルクスワーゲンは“究極のエコカー”と呼ぶことができるスペシャリティカー「XL1」を販売していました。

 フォルクスワーゲン「XL1」は、2013年に発表された2人乗りのPHEVクーペです。

 最も注目すべき点は、その驚異的な燃費性能にあります。欧州基準で0.9リッター/100kmという数値は、日本式の燃費表記に換算すると1リッター当たり111kmという極めて優れた効率性を示しています。

 XL1の開発の歴史は、2002年に発表されたフォルクスワーゲンのコンセプトカー「L1」にさかのぼります。

 当時は、アメリカ政府が提唱していた「3リッターカー構想」(3リッターの燃料で100km走行する車両)を中心に、世界中の自動車メーカーがエコカー開発に力を入れていた時期でした。

 1999年に世界初の3リッターカー「ルポ3L TDI」を市販化したフォルクスワーゲンにとって、さらに効率のよい「1リッターカー」を目指す「L1」プロジェクトは、より一層燃費効率を追求する挑戦でした。

 L1は2009年に2代目コンセプトモデルへと進化し、2011年には「XL1」として1リッター当たり111kmという燃費を達成。そして2013年には待望の量産モデルとして市場に登場することになったのです。

フォルクスワーゲン「XL1」[Photo:Collecting Cars/2025年6月1日に5万2345英ポンドで落札]
フォルクスワーゲン「XL1」[Photo:Collecting Cars/2025年6月1日に5万2345英ポンドで落札]

 XL1のパワートレインは、0.8リッター2気筒ディーゼルターボエンジン(48ps)とモーター(27ps)を組み合わせたハイブリッドシステムで、7速DSGトランスミッションと連携しています。電気モーターのみでも35kmの走行が可能です。

 ボディサイズは全長3888mm×全幅1665mm×全高1153mmとコンパクトに設計されています。空気抵抗を減らすために全高を抑えつつも、乗降性を確保するため、斜め前方に開く「ウイングドア」が採用されました。

 車両重量についても、カーボン素材を多用することで795kgという軽量化に成功しました。

 さらに、全幅を狭く保つために、運転席と助手席は前後にオフセットして配置されています。

 エクステリアデザインも空力性能に特化したもので、後輪をスパッツで覆い、抵抗となるリアビューミラーをカメラに置き換えるなど、空気抵抗を徹底的に削減。

 0に近ければ空気抵抗が少ないことを示すCd値は、0.186と非常に小さな数値を実現しています。

 これらの燃費向上のための工夫により、リッター111kmという優れた燃費性能を達成した「XL1」は、ドイツ国内で250台限定で販売されました。

 新車価格は11万1000ユーロ(約1824万円)と高価でしたが、エアコンやカーナビなどの快適装備が標準で搭載されており、日常使用にも対応できる仕様となっていました。

 飽くなき低燃費への挑戦を図ったXL1でしたが、登場から10年が経過した現在、後継モデルは登場せず、そのままBEV(バッテリー電気自動車)へのシフトを図ったことで、こうしたチャレンジングなモデルが今度登場することはなさそうです。

 先進技術のショーケースとしての側面が強いクルマではありましたが、最小限の燃料で遠距離走行を実現するという性能は、パワーやスピードとは異なる魅力を持つといえるでしょう。

 エコロジーと高い効率性を両立させた、フォルクスワーゲンの技術力を示す象徴的な1台となっています。

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Writer: 伊勢崎剛志

自動車販売から自動車雑誌編集部を経て、ライターとして独立。趣味も多彩だが、タイヤが付いているものはキホン何でも好きで、乗りもので出かけることも大好物。道路や旅にも精通し、執筆活動はそういった分野をメインに活動。

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