「非常駐車帯」にクルマを止め高速道路を歩いていた男性、大型トラックにはねられ死亡事故を防止するための“対策”は? 非常駐車帯はどんな時に使える場所?
高知自動車道において、非常駐車帯にクルマを止め高速道路上を歩いていた男性が大型トラックにはねられ死亡する事故が発生しました。このような事故を防止するには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
インターネット上では「高速道路を歩くのは危険」「クルマは止まれない」などの意見も
2025年12月19日午後4時40分頃、高知県香美市土佐山田町を通る高知自動車道の下り線において、高速道路上を歩いていた24歳の会社員の男性が大型トラックにはねられ、死亡する事故が発生しました。
このような痛ましい事故を防止するには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

現場は大豊IC~南国ICの間にある平山トンネルから南方に約300m、故障車両や緊急車両などが停車するための「非常駐車帯」がある場所でした。
警察によると、この非常駐車帯には会社員の男性が運転していたとみられるクルマが止まっていましたが、クルマに目立った故障はなく、事故後も動かせる状態だったということです。また、止まっていたクルマの近くに事故防止のための三角表示板などは設置されていませんでした。
大型トラックを運転していた男性は事故時の状況について、「路肩に止まっていたクルマから降りてきた男性をはねた」と話しています。警察では、男性が何らかの理由でクルマを止めて高速道路上を歩いていたとみて、当時の詳しい状況や原因を調べています。
なお、原則として高速道路では自動車の駐停車が禁止されていますが、クルマの故障や交通事故の発生などやむを得ない理由がある場合には非常駐車帯のほか、路肩・路側帯にも駐停車ができます。
特に非常駐車帯は一般的な道路部分や橋の上の部分では約500mごと、トンネル内では約750mを目安に設置されており、近くには交通管制室につながる非常電話もあるため、緊急時の避難場所として利用できます。
ただし、運転中に電話がかかってきた場合や休憩をしたいといった事情は「やむを得ない理由」には該当しないため、その場合は非常駐車帯に駐停車してはいけません。
また、たとえクルマの故障や交通事故が原因で非常駐車帯に駐停車する場合であっても、二次的な事故を防止する対策をとる必要があります。具体的には後続車両にはねられないよう、高速道路上を歩き回らないことが肝要です。
さらにクルマのハザードランプを点灯したり、可能な限りクルマの後方に三角表示板や発炎筒を設置したりして後続車両に停止車両の存在を知らせる措置をとった後、ガードレールの外など安全な場所に避難するようにしましょう。
高速道路では後続車両が高速度で次々と走行してくるため、停車後にクルマを降りる際にもしっかりと安全確認をおこなうことが重要です。
今回の事故に対してインターネット上では「高速道路で人が歩いていても絶対に止まれない気がする」「NEXCOの隊員でさえ高速道路上でクルマを降りる時は、まず助手席の隊員が降りて安全確認して合図してから運転席の隊員が降りるんですよね。高速道路を歩くのはそれぐらい危険」などの声が寄せられました。
その一方で、「止まっているクルマをいつ視認できたかは分かりませんが、こうした車両の横を通過する際は、ドアが突然開いても対応できるよう、できるだけ距離を取っています」といった事故防止対策に関する意見も上がっています。
高速道路を運転する際には、駐停車しているクルマがいるかもしれないということを念頭に置き、前方をよく確認するほか、前を走る車両の急な動きに対応できるよう車間距離を空けておくことも大切です。
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クルマの故障や事故などで非常駐車帯に入った後も、後続車両の接触事故には十分に気をつけなければなりません。
また、あくまで非常駐車帯は故障車や緊急車両、道路管理車両などが緊急時に停車するためのスペースであることから、通話やカーナビの設定、仮眠といった目的で利用しないようにしましょう。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。
















