マツダ「次期コスモスポーツ!?」 現代に蘇った“旧車レトロ×最新デザイン”採用の「“2人乗り”スポーツカー」がスゴイ! 名車「ロードスター」ベースに開発した“本気モデル”NATS「コスモビジョン」とは!
かつて2022年の「東京オートサロン」に出展された「COSMO VISION」とは、一体どのようなスポーツカーだったのでしょうか。
マツダ「次期コスモスポーツ!?」 “旧車レトロ×最新デザイン”採用!
毎年1月、千葉県の幕張メッセで開催される世界最大級のカスタムカーの祭典「東京オートサロン」。
ここでは自動車メーカーやチューニングショップによる様々なカスタムカーが展示され、クルマ好きたちの熱気に包まれますが、その中でもひときわ異彩を放ち、来場者の度肝を抜くブースがあります。

それこそが、千葉県成田市と袖ヶ浦市にキャンパスを構える自動車専門学校、日本自動車大学校(NATS)のブース。学生たちの自由な発想と、プロ顔負けの技術力が詰め込まれたカスタムカーは、オートサロンの名物と言っても過言ではありません。
そんなNATSが2022年の東京オートサロンに出展し、会場をどよめかせた1台のカスタムカーがありました。
その名は「COSMO VISION(コスモビジョン)」。
往年の名車ファンなら思わず足を止めてしまうそのスタイリングは、マツダが世界に誇る伝説のスポーツカー、「コスモスポーツ」を現代解釈で蘇らせた大胆なモデルだったのです。
1967年にマツダ(当時の東洋工業)が社運を賭けて世に送り出したコスモスポーツは、世界で初めて「実用・量産に適した2ローター・ロータリーエンジン」を搭載した、自動車史に残る金字塔です。
そしてエンジン同様にデザインも衝撃的で、まるで未来の宇宙船をイメージしたような低く流麗なスタイリングは、全高わずか1165mmという驚異的なパッケージングとともに世界中に驚きをもたらしました。
そんな偉大な名車を半世紀以上の時を経て現代に復活させるという難題に、NATSのカスタマイズ科に所属する学生たちは挑んだのです。
彼らがコスモビジョンのベース車両として選んだのは、同じくマツダの魂を受け継ぐライトウェイトスポーツカー「ロードスター(2015年式のND型)」。
しかし、完成した車両の姿にロードスターの面影を見つけることは困難でしょう。
学生たちが目指したのは、単なるレプリカやレストアではなく、コスモスポーツが持っていた「レトロフューチャー」な世界観と、現代の最新モデルが持つテイストを融合させることでした。
そのために駆使されたのが、メーカーの垣根を超えた大胆なパーツ流用術です。
まず、コスモスポーツの最大の特徴である、愛らしくも未来的な丸目のヘッドライト。これにはなんと、フォルクスワーゲン「ニュービートル」のヘッドライトユニットが流用されています。
さらに、フロントグリルやバンパーのメッキ加飾部分には、現代マツダのデザインアイコンである「シグネチャーウイング」を意識し、マツダ「CX-5」のパーツを加工して装着。これにより、クラシカルな雰囲気の中に、しっかりと「現代のマツダ車」としてのDNAを感じさせる顔つきを完成させています。
驚きの流用技はそれだけにとどまりません。特徴的な形状のフロントウインカーには、ホンダの初代「インサイト」のパーツをボディラインに合わせて加工して埋め込むという、マニアックな手法が採られています。
これらのパーツを違和感なく組み合わせ、一つのデザインとして成立させるために、ボディワークには想像を絶する労力が注ぎ込まれました。
製作に携わった学生によれば、特に苦労したのはコスモスポーツのアイデンティティとも言える、ボディサイドを流れる優美なプレスラインの再現だったといいます。
ベース車とは全く異なるラインをパテ処理と造形によって生み出し、さらにフロントノーズを大幅に延長することで、あの独特の伸びやかなロングノーズ・ショートデッキのプロポーションを再現しました。
また、足回りにはエアサスペンションを組み込み、停車時にはタバコの箱すら入らないほどの極低車高を実現。地面を這うようなスタンスは、かつてのコスモスポーツが持っていた「低さ」へのオマージュであると同時に、現代のカスタムカーシーンのトレンドもしっかりと取り入れた演出となっています。
インテリアに目を向けると、イタリアの名門ナルディ製のクラシックなステアリングホイールが装着され、往年のスポーツカーファンをニヤリとさせます。
一方でシートには、バケットシートの著名ブランドであるブリッド製のスポーツシートを採用し、現代的なホールド性とレーシーな雰囲気を融合。
パワーユニットに関しては、ベース車の1.5リッター直列4気筒エンジンをそのまま搭載していますが、吸排気系に手が加えられたほか、エアクリーナーやマフラーのカスタムによってスポーティなサウンドとレスポンスを実現しています。
“コスモ”伝統のロータリーエンジンではありませんが、現代の信頼性の高いエンジンで気兼ねなく走れる「快適な旧車ルック」という点は、むしろ究極の贅沢と言えるかもしれません。
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このように、「もしも現代にコスモスポーツが復活したら」という、学生ならではの自由な発想と他車種のパーツを巧みに組み合わせる柔軟なアイデア、そして何より「クルマを作ることが好きだ」という情熱で見事に具現化したコスモビジョン。
その完成度の高さは、単なる学生の卒業制作の枠を超え、オートサロンという晴れ舞台で多くの来場者に「夢」と「驚き」を与えました。
古いものを大切にしながら新しい価値を創造する「温故知新」の精神が宿るこの一台は、カスタムカー文化の奥深さと面白さを改めて教えてくれる傑作として、今も輝き続けています。
Writer: くるまのニュース編集部
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