「クマだァァ!!」車で遭遇したら「バックで逃げちゃダメ」って本当?「今年の漢字」にも選ばれた“熊”の対処で「絶対にやってはいけない」行為とは!
「今年の漢字」の発表が行われ、2025年の漢字は「熊」が選ばれました。もしドライブ中にクマに遭遇してしまったら、一体どう対処すればよいのでしょうか。
“熊”の対処で「絶対にやってはいけない」行為とは!
2025年12月12日、京都の清水寺で毎年恒例となっている「今年の漢字」の発表が行われました。
巨大な和紙に力強く書かれたのは、なんと「熊」の一文字。
その年の世相を漢字一字で表すこの行事において、「熊」が選ばれるのは史上初めてのことだといいます。

この結果の背景には、愛らしいパンダ(熊猫)の中国返還というニュースもありましたが、それ以上に日本列島を震撼させた、ツキノワグマやヒグマによる人的被害の記録的な増加という事情がありました。
2025年は全国各地で「アーバン・ベア(都市型クマ)」という言葉が連日のようにニュースの見出しを飾り、これまでクマとは無縁だと思われていた市街地や住宅街にまで出没エリアが拡大。
北海道や東北のみならず近畿地方などでも負傷者が相次ぎ、まさに日本中が「日常に潜む恐怖」に包まれた一年だったと言えるでしょう。
なぜ2025年はこれほどまでにクマの出没が相次いだのでしょうか。
専門家の分析によれば、そこには複数の環境要因が複雑に絡み合っているといいます。
一つ目の大きな要因は、記録的な少雪と暖冬の影響です。偏西風の蛇行によって東北や北海道の積雪量が激減し、クマの冬眠期間が例年より10日から14日も短縮されてしまいました。
さらに雪解けが早まったことで、春先の貴重な食料であるブナの実などが発芽・腐敗してしまい、目覚めたばかりの空腹のクマたちが食料を求めて里山へと降りてくるタイミングと、人間が山菜採りなどで入山する時期が重なってしまったのです。
二つ目の要因は、秋の主食であるドングリ類の歴史的な凶作です。冬眠に向けて大量のカロリーを摂取しなければならない時期に山に餌がないという絶望的な状況が、クマを人間の生活圏へと追いやりました。
そして三つ目の要因として見逃せないのが、耕作放棄地の増加や高齢化による里山の管理不足です。人間と野生動物の緩衝地帯であった里山が藪化し、クマにとって身を隠しながら移動できる絶好のルートとなってしまったことで、「人に慣れたクマ」が増加しているのです。
こうした状況下において、クマとの遭遇リスクは登山者やハイカーだけの問題ではなくなりました。山間部や郊外の道路を走行するドライバーにとっても、決して他人事ではありません。
実際に、ドライブ中に道路脇や路上でクマを目撃するケースが急増しており、クルマとの衝突事故も発生しています。
では、もしハンドルを握っている最中にクマに遭遇してしまったら、私たちはどう対処すればよいのでしょうか。
JAF(日本自動車連盟)北海道本部の担当者は、過去の取材において「まずぶつからないようにスピードを落とし、クマを回避しつつ警察に通報するのが望ましい」とした上で、「何よりも重要なのは、クマを見かけても絶対に近寄らないこと」と警鐘を鳴らしています。
近年、SNS映えを狙ってか、珍しい野生動物を見つけるとクルマを停めて窓を開け、スマートフォンで撮影しようとするドライバーが見受けられますが、これは極めて危険な行動です。
北海道のヒグマ対策室の担当者によれば、基本的には「クルマの中にいる限りは安全」とされていますが、それはあくまで窓を閉め、ドアをロックしている状態での話。
クマが驚いて威嚇してくる可能性もあり、興奮したクマの爪や牙は容易にクルマのボディを傷つけます。そのため、興味本位で観察するのではなく、冷静にその場から離れることが鉄則です。
また、やってしまいがちなのが「クラクションを鳴らして追い払おうとする」行為ですが、これも避けるべきだといいます。大きな音はクマを過度に興奮させ、かえって攻撃的な行動を誘発する恐れがあるからです。
一部のネット上では「クマの前でバックしてはいけない」という噂も流れていますが、これには科学的な根拠はなく、状況が許すならばバックでも前進でも、速やかにその場を立ち去ることが推奨されています。
もしクルマを降りている状況で遭遇してしまった場合はさらに深刻です。
背中を見せて走って逃げるのは、逃げるものを追うというクマの習性を刺激するため厳禁です。目を離さずに、静かにゆっくりと距離を取ることが生存率を高める鍵となります。
もし登山や釣りで生息域に入る際は、クマ撃退スプレーの携行がお守り代わりとなるでしょう。
※ ※ ※
ドライブや冬の温泉旅行など、山間部へクルマで出かける機会も考えられるこれからの季節ですが、冬眠していないクマ(いわゆる「穴持たず」)は空腹で行動が活発だといわれており、強く警戒した方が良いでしょう。
「今年の漢字」に選ばれた「熊」という文字を単なる話題として終わらせず、私たちドライバー一人ひとりが「いつ遭遇してもおかしくない」という危機感を持ち、正しい知識と冷静な判断を備えてハンドルを握ることが、自分と同乗者の命を守ることに繋がるのです。
Writer: くるまのニュース編集部
【クルマをもっと身近にするWEB情報メディア】
知的好奇心を満たすクルマの気になる様々な情報を紹介。新車情報・試乗記・交通マナーやトラブル・道路事情まで魅力的なカーライフを発信していきます。クルマについて「知らなかったことを知る喜び」をくるまのニュースを通じて体験してください。


















