リッター32km以上走る! スズキ斬新「ちいさな“クーペ”」がスゴイ! 800cc「直3」&全長3.5m級ボディ採用! 軽自動車よりも“軽い”「レジーナ」とは

スズキがかつて提案した、驚異的な燃費性能と個性的なデザインを兼ね備えたコンセプトカー「レジーナ」。ハイブリッド全盛期に一石を投じたこのクルマは、どのような未来を描いていたのでしょうか。

スズキの「超軽量エコカー」

 自動車メーカーは、モーターショーなどの晴れ舞台で未来の方向性を示すコンセプトカーを発表します。中には市販化を前提とした現実的なモデルもあれば、技術の限界に挑む実験的なモデルも存在します。

 過去を振り返ると、2011年11月に開催された「東京モーターショー2011」において、スズキブースの主役として世界初公開された「レジーナ(Regina)」は、強烈な個性を放つ1台でした。

リッター32km以上走る!?
リッター32km以上走る!?

 当時はハイブリッドカーが全盛期を迎えており、各社がこぞって電動化技術を競い合っていた時代です。

 そんな中でスズキが提案したのは、高価なハイブリッドシステムに頼らず、ガソリンエンジン車の基本性能を徹底的に突き詰めることで究極のエコカーを目指すという、極めて現実的かつ挑戦的なコンセプトでした。

 レジーナの開発テーマは“省資源・低燃費な次世代グローバルコンパクトカー”です。

 スズキは従来モデル比で100kg以上の軽量化、空気抵抗の10%低減という高い目標を設定。その結果、ガソリン車でありながら、当時のハイブリッド車に匹敵するJC08モード燃費32km/L以上、CO2排出量70g/km以下(欧州計測値)という驚異的な数値を目標値として掲げました。

 この“高価なバッテリーを使わずに低燃費を実現する”というアプローチは、コスト意識の高いスズキらしい現実的な解として、多くの来場者やメディアから高く評価されました。

 エクステリアは、“空力”と“個性”を高度に融合させたデザインが特徴です。

 フロントからリアへ流れるような流線型のフォルムを採用し、後方へ行くほどボディが絞り込まれる形状とすることで、空気抵抗を極限まで低減しています。

 特に目を引くのが、リアタイヤの一部をボディで覆う“リアホイールスパッツ”のような形状です。これはタイヤ周辺の空気の乱れを整流するための機能的なデザインでありながら、往年の名車を思わせるクラシカルな雰囲気を醸し出すアクセントにもなっています。

 インテリアは、“情報の見やすさ”と“操作のしやすさ”を追求した、シンプルかつ未来的な空間です。

 インパネには浮遊感のあるフローティングデザインを採用し、運転に必要な情報をドライバー前方に集中させることで、視線移動を最小限に抑えるレイアウトとなっています。

 ボディサイズは全長3550mm×全幅1630mm×全高1430mmと、当時のAセグメントクラスに属するサイズ感です。全幅が軽自動車枠を超えているため登録車となりますが、特筆すべきはその車両重量です。

 徹底的な軽量化により、現代の軽自動車よりも軽い730kgという数値を実現しています。

 パワートレインには、800ccの直列3気筒直噴ターボエンジンを搭載し、CVTを組み合わせています。

 駆動方式はFF(前輪駆動)を採用。最高出力や最大トルクの具体的な数値はコンセプトカーのため明らかにされていませんが、アイドリングストップシステムや減速エネルギー回生システムなどの省燃費技術が盛り込まれていました。

 レジーナの最大の特徴は、“デザインがそのまま機能を表している”点にあります。

 奇をてらった形ではなく、空気をスムーズに流すために導き出された必然性のある形状が、結果としてレトロモダンで個性的なスタイリングとして結実していたのです。

 残念ながら、レジーナはこのデザインのまま市販化されることはありませんでした。
 レジーナが目指した“徹底的な軽量化”というテーマは、その後のスズキ車開発にも通じています。後の2014年に登場した8代目「アルト」でも、同様にプラットフォームの刷新による大幅な軽量化が図られました。

 この時に採用された新プラットフォームは後に「ハーテクト(HEARTECT)」と命名され、現在のスズキ車の基盤となっています。

 レジーナが示した“軽量化こそが正義”という哲学は、今のスズキ車の中に脈々と生き続けているのです。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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