640馬力の「和製スーパーセダン」に“反響殺到”!「やっぱり日本の技術はスゴイ!」「未来感が好き」の声も! “最高速370キロ”の超・高性能実現する「8輪駆動」の爆速マシン「エリーカ」とは!
今から20年以上も前の2004年に“8輪車”のスーパーセダンが日本で誕生していました。一体どのようなクルマだったのでしょうか。
640馬力の「和製スーパーセダン」に“反響殺到”!
2025年10月末に開催された「ジャパンモビリティショー2025」では、レクサスが「6輪のミニバン」を提案するコンセプトカーを出展して来場者の度肝を抜きました。
しかし自動車の歴史を少し振り返ると、今から20年以上も前の2004年に、さらに車輪の多い“8輪”のスーパーセダンが日本で誕生していました。

そのクルマの名は「Eliica(エリーカ)」。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの清水浩教授(当時)および吉田博一教授(当時)を中心に、38社もの企業が連携するオールジャパン体制で開発されたこの電動モンスターセダンは、単なる実験車両の枠を超え、市販化まであと一歩というところまで迫った、日本のEV史における「オーパーツ」とも呼べる存在です。
車名のエリーカは、「Electric Lithium-Ion Battery Car」の頭文字から名付けられました。
全長5100mm×全幅1900mm×全高1365mmという、現在のレクサスLSやメルセデス・ベンツSクラスに匹敵する堂々たるボディサイズを持ちますが、最大の特徴はなんと言ってもその足元にあります。
なんとエリーカは、8つの車輪すべてにモーターを内蔵する「インホイールモーター」方式を採用していたのです。
これは車輪のハブ内部に直接モーターを組み込む技術で、プロペラシャフトなどの伝達部品を必要とせず、室内空間を広く取れる夢の技術でした。
しかし、ホイール内に収まる小型モーターでは出力に限界があるため、「パワーが足りないなら数を増やせばいい」という逆転の発想で、8輪すべてを駆動させる異形のレイアウトが採用されたのです。
そのスペックは、20年後の現在から見ても驚愕の一言に尽きます。
8輪合計で最高出力480kW(約640馬力)を発生し、イタリアのテストコースでは最高速度370km/hをマーク。
0-100マイル(約160km/h)加速はわずか7秒と、当時のガソリンエンジンのスーパーカーたちを震撼させる性能を誇りました。
さらに驚くべきは、このエリーカが本気で市販化を目指しており、実際にナンバープレートを取得して公道走行を行っていたことでしょう。
計画では車両価格3000万円程度で約200台の販売を予定していましたが、専用設計の足回り部品や、当時だけで2000万円近くしたというリチウムイオンバッテリーのコストが壁となり、惜しまれつつも量産化計画は凍結されました。
それでも、エリーカが残した功績は決して消えていません。このプロジェクトで培われた技術と知見は、その後の日本の電動化技術の礎となりました。
エリーカの開発を主導した清水氏はその後「株式会社e-Gle」を立ち上げ、現在も第5世代となるインホイールモーターシステムの研究開発を続けています。
また、吉田氏もリチウムイオン電池の低コスト化と普及を目指して「エリーパワー」を起業し、定置用蓄電池などの分野で成功を収めたほか、ホンダやスズキの一部二輪車に純正品として採用されているなど、高い信頼性を築き上げています。
エリーカのDNAは形を変え、現代のエネルギー社会の中に確かに息づいているのです。
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このようなエリーカですが、その先進性は今なお色褪せていません。
現在のSNSやネット掲示板などでは、「これが20年前に走っていたなんて信じられない、やっぱり日本人の技術力は凄い!」「当時、世界最高峰の性能を持っていたのに、発売まで推し進められなかったのが本当に悔しい…」といった称賛と惜別のコメントが溢れています。
また、その独特なスタイリングについても「80年代の特急電車のようなノスタルジックな未来感が好き!」「サイコーだよ! 男の子はタイヤがたくさん付いているメカに弱いんだ」「これ見た時、未来のクルマはみんな8輪になると思った」といった、デザインへの愛着を語る声も多く見られます。
もしあの時、バッテリーのコストダウンが間に合っていれば、テスラが台頭する前に日本発のスーパーEVが世界を席巻していたかもしれません。
エリーカは、そんな「もしも」を想像せずにはいられない、日本の技術者の夢と意地が詰まった一台なのです。
Writer: くるまのニュース編集部
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