スバル“史上最大”の「7人乗りSUV」! 超「広びろ内装」実現!? 水平対向エンジン×高性能4WD搭載!? 迫力顔もイイ米国「ヴィジヴ-7」とは
スバルが2016年のLAオートショーで発表したコンセプトカー「ヴィジヴ-7」。ブランド史上最大となるボディサイズを誇るこのクルマは、一体どのようなモデルだったのでしょうか。
スバル史上最大の“3列シート”SUV
自動車メーカーが将来のビジョンや技術力をアピールする場であるモーターショー。そこでは数多くのコンセプトカーが発表され、来場者の夢をかき立てます。なかには、市販化を前提としない実験的なモデルもあれば、近い将来の市販車を強く示唆するモデルも存在します。
2016年11月、米国で開催された「ロサンゼルスオートショー2016」において、スバルが世界初公開した「ヴィジヴ-7 SUVコンセプト(VIZIV-7 SUV CONCEPT)」は、まさに後者の代表例といえる一台でした。

このクルマのコンセプトは、”将来のスバル多人数SUV”の提示です。車名の「ヴィジヴ(VIZIV)」は、「Vision for Innovation(革新のための未来像)」を語源とする造語であり、スバルがお客様に提供する価値である「安心と愉しさ」の将来像を具現化するシリーズとして展開されていました。
そのなかでもヴィジヴ-7が担った役割は、北米市場で長らく求められていた”フルサイズ”のボディと、大人数でのロングドライブやアウトドアアクティビティを想定した”3列シートSUV”の方向性を示すことでした。
当時、北米市場ではかつて販売していた「トライベッカ」の生産終了後、スバルのラインナップには3列シートを持つ大型SUVが不在の状態が続いていました。
市場からの強い要望を受け、2018年に導入が予定されていた新型3列ミッドサイズSUVのサイズ感とデザインの方向性を、このコンセプトカーを通じて事前にアピールする狙いがあったのです。
エクステリアデザインは、スバルのデザインフィロソフィーである「ダイナミック×ソリッド(DYNAMIC x SOLID)」を全面的に採用しています。フロントフェイスには、スバル車の共通アイコンである大型のヘキサゴングリルを堂々と配置。
そこからヘッドライトへとつながるラインは力強く、ヘッドライト自体も鋭いホークアイデザインを採用することで、スバルらしさを強調しています。
ボディサイドやフェンダーの造形は非常に筋肉質で、SUVらしい頼もしさと安心感を表現。ホイールアーチにはカーボン素材を用いた装飾が施されるなど、ショーモデルならではの演出も光っていました。
その堂々とした佇まいは、北米の競合車であるトヨタ「ハイランダー」やフォード「エクスプローラー」などに対抗しうる、圧倒的なプレゼンスを放っていました。
ボディサイズは、全長5200mm×全幅2030mm×全高1860mm、ホイールベースは2990mmに達します。
この数値は、当時の日本国内向けフラッグシップモデルである「レガシィ アウトバック」を大きく上回るものであり、まさにスバル史上最大のサイズでした。タイヤサイズも265/55R21という大径のものを装着しており、その迫力は見る者を圧倒しました。
インテリアについては、具体的なデザインや仕様は明らかにされていませんでした。
しかし、外観同様にダイナミック×ソリッドに基づいた質感の高い空間であることが示唆されており、全座席において大人が快適に過ごせるゆとりのある室内空間が確保されているとアナウンスされました。3列すべてのシートで快適な移動空間を提供することは、このクルマの最も重要な使命のひとつだったといえるでしょう。
パワートレインに関しても、公式発表では詳細は明らかにされていませんでした。
ただし、スバルが培ってきた水平対向エンジンやシンメトリカルAWDといった独自の技術が投入されることは確実視されていました。
先進技術についても、特定の機能は公表されていませんが、スバルの安全思想に基づき、高度な運転支援システム「アイサイト」の搭載が前提とされていたことは間違いありません。
当時の反響は非常に大きく、北米のメディアやファンからは「これなら家族全員で快適に移動できる」「スバルらしいタフさが良い」といった期待の声が多く聞かれました。スバルが満を持して投入する大型SUVへの期待値の高さがうかがえます。
そして、このコンセプトカーは「アセント(ASCENT)」として市販化されました。
2017年のロサンゼルスオートショーで市販モデルが発表され、翌2018年に北米市場での販売を開始しました。アセントには新開発の2.4リッター水平対向4気筒直噴ターボエンジンが搭載され、アイサイトも標準装備されています。
ヴィジヴ-7で示されたデザインエッセンスや”3列シートの大型SUV”というコンセプトは、アセントに色濃く受け継がれており、北米市場におけるスバルの最上位モデルとして、現在もファミリー層を中心に高い人気を誇っています。
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アセントはそのボディサイズの大きさから、日本市場への正規導入は行われていませんが、スバルのラージサイズSUVとして日本でも「買いたい」という声は少なくなく、一部の並行輸入業者が取り扱いをしているほどの人気があります。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

















































