雪道で「立ち往生」なぜ発生? 峠越え不能な車も… 「他人事ではない」いま確認すべき「必須装備と脱出術」とは

2025年12月、寒波により各地で車の立ち往生が多発しました。国交省が「法令違反」と指摘する事態に。なぜ警告は無視されるのでしょうか。雪道を甘く見た代償と、万が一スタックした際に自力で脱出するための緊急テクニックを解説します。

大雪で「立ち往生」多発! 大型車の「チェーン未装着」なぜ? いざという時の脱出術

 2025年12月上旬、東北地方を中心に大雪による車両の立ち往生が発生しました。

 大型車のチェーン未装着が主な原因とされていますが、これは決して他人事ではありません。

 雪道でタイヤが空転して動けなくなる「スタック」はなぜ起こるのでしょうか。

 もしもの時に役立つ「必須装備」と、自力で脱出するための「緊急テクニック」について解説します。

■まさかの「立ち往生」続出… 2025年冬の教訓

 本格的な冬の到来とともに、各地で雪道トラブルが急増しています。

 2025年12月上旬、日本列島を襲った寒波は、道路交通に大きな爪痕を残しました。

 特に物議を醸したのが、事前の警告があったにもかかわらず、装備不十分な状態で雪道へ進入し、立ち往生を引き起こす事例です。

 12月4日、国土交通省 長岡国道事務所は、公式SNSを通じて衝撃的な報告を行いました。

 新潟県湯沢町の国道17号「芝原トンネル」付近において、ノーマルタイヤを履いた普通乗用車が坂を登りきれずに立ち往生したのです。

 現場となった国道17号の群馬・新潟県境は、「上越国境」とも呼ばれ、谷川岳や苗場山などの山々に阻まれた地形的要因から、冬場は豪雪地帯となることで知られています。

 そのため、国土交通省は12月3日から4日にかけての強い冬型の気圧配置を予測し、事前に「大雪に関する発表」を行い、不要不急の外出自粛や冬用装備の徹底を強く呼びかけていました。

 しかし、その警告もむなしく発生した今回のトラブルに対し、同事務所は現場の画像とともに「ノーマルタイヤでの雪道走行は法令違反です」と指摘。改めて冬用タイヤの装着とチェーンの携行を訴えました。

 また12月4日、山形県と福島県の県境に位置する国道13号「栗子峠」付近や、宮城県大崎市の国道47号などでも、大型トラックやトレーラーが相次いでスタックが発生。

 道路カメラの映像や河川国道事務所の報告によると、立ち往生した大型車両の中には「チェーン未装着」のまま峠越えを試み、登り坂で走行不能に陥ったケースが見受けられました。

 過去には2020年の関越道や2024年の名神高速で、大規模な車両滞留が発生し、解消までに丸一日以上を要した事例もあります。

 国土交通省は、雪道での装備不十分による悪質な立ち往生に対し、行政処分の対象とする厳しい姿勢を示しています。

 雪道を甘く見ず、万全の準備を整えることがドライバーの義務と言えます。

大雪で「立ち往生」多発! 大型車の「チェーン未装着」なぜ? いざという時の脱出術(画像はイメージ/PhotoAC)
大雪で「立ち往生」多発! 大型車の「チェーン未装着」なぜ? いざという時の脱出術(画像はイメージ/PhotoAC)

■スタッドレスタイヤだけでは危険? 出発前の「儀式」と必須装備

 では、雪道を安全に走行するためにはどのような準備が必要なのでしょうか。

 JAF(日本自動車連盟)は、スタッドレスタイヤを装着していても、路面状況によってはチェーンが必要になる場合があると指摘しています。

 自身のクルマに合ったタイヤチェーンと、それを装着するためのジャッキは必ず積んでおくべき「必須アイテム」です。

 また、意外と見落としがちなのが出発前の準備です。クルマの屋根に積もった雪をそのままにして走り出すと、ブレーキをかけた拍子にフロントガラスへ雪が滑り落ち、視界を塞いでしまう恐れがあります。

 さらに、運転席に乗り込む際は、靴底の雪をしっかり払うことが重要です。

 靴に雪が残っていると、アクセルやブレーキの感覚が狂うだけでなく、足が滑ってペダルを踏み外し、思わぬ事故を招く危険性があるからです。

 もしもの備えとして、バッテリー上がりに対応するブースターケーブルや、スタック時の救世主となる牽引ロープ、スコップ、滑り止めの砂、作業用の軍手や長靴などを車載しておくことも強く推奨されます。

■焦りは禁物! 泥沼化する前に試したい「脱出テクニック」

 万全の装備をしていても、雪道には魔物が潜んでいます。雪や泥でタイヤのグリップ力が低下し、アクセルを踏んでも空転するばかりで進まなくなる現象、それが「スタック」です。

 スタックした際、焦ってアクセルを強く踏み込むのは逆効果です。

 タイヤの摩擦熱で雪が溶け、路面がさらに滑りやすくなり、状況が悪化してしまいます。初期段階であれば、以下の手順で脱出できる可能性があります。

「ゆりかご」のように動かす タイヤを真っ直ぐにし、アクセルを優しく踏んで、クルマを前後に小刻みに動かします。雪を踏み固めながら、反動を利用して脱出を試みましょう。

 足元を固める タイヤ周辺の雪をスコップや足で取り除き、駆動輪の下にチェーンや布、緊急脱出用のヘルパーなどを敷き込みます。

 これらが無い場合は、車内のフロアマットでも代用可能です。ただし、アクセルを踏んだ勢いで敷いた物が後方へ飛び出す危険があるため、周囲の安全確認は必須です。

 駆動方式に合わせた技 FF車(前輪駆動)なら、ハンドルをこまめに切って雪を踏み固めながら進むのが有効です。

 FR車(後輪駆動)の場合は、後部座席に人が乗ったり荷物を積んだりして、駆動輪に荷重をかけることでグリップ力を高めることができます。

 タイヤの空気を抜く(最終手段) タイヤの空気圧を下げて接地面積を増やす方法もありますが、脱出後は必ずガソリンスタンドなどで適正空気圧に戻すことを忘れないでください。

※ ※ ※

 あらゆる手を尽くしても脱出できない場合は、ロードサービスに救援を要請しましょう。

 救援を待つ間、暖を取るためにエンジンをかけ続ける場合は注意が必要です。

 マフラーが雪で塞がれると、排気ガスが車内に逆流し、一酸化炭素中毒になる危険性があります。定期的にマフラー周りの除雪を行うか、こまめな換気を心がけてください。

【画像】「ええぇぇ…」 これが「立ち往生した車両」です 画像で見る

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Writer: くるまのニュース編集部

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