日産の新型「ルークス」に注目! “クラストップ”の室内空間や「ミニバン並みの収納力」がイイ! 内外装デザイン&パワトレ異なる「2つの仕様」を乗り比べて分かった実力とは?

NAは軽快、ターボは余裕-性格の異なる走り

 パワートレインは従来モデルと同じNA/ターボの2本立て(BR06)ですが、マイルドハイブリッドは廃止され、ガソリン車のみとなりました。

 このあたりは費用対効果を考えた結果のようですが、エンジンとトランスミッションの最適化により、動力性能・燃費性能はほぼ同等となっています。

日産「ルークス Gターボ プロパイロットエディション」
日産「ルークス Gターボ プロパイロットエディション」

 実際に走らせると、動力性能の差は微速からのゆっくりした再加速時の応答性など、重箱の隅をつつかない限りほぼ感じません。

 それよりも、アクセルを踏んだ際のCVT特有の唐突な回転上昇を抑えたスムーズなフィーリング(従来モデルは回転先行で唐突感があった)や、まるでエンジンが遠くで回っているかのような高い静粛性に驚きます。

 このあたりを開発陣に聞くと、スムーズなフィーリングはCVTのチューニング、静粛性は遮音ガラスや吸音材、シーリングの効果が大きいとのことでした。

 ちなみにNAは街中なら「これで十分だよね」と思わせるパフォーマンス(高速道路では合流や追い越し時が少し厳しい…)。

 ターボは高速も含めて「ECOモードがデフォルトでもいいのでは?」と思うほど余裕のパフォーマンスが印象的でした。

 このあたりは用途次第ですが、個人的にはターボを上級グレード(G)だけでなく、普及グレード(X)にも設定してほしいところです。

 フットワークの基本は従来モデルの進化版ですが、従来から「素性が大事」という考えのもと、軽自動車としては贅沢な設計です。

 そこで新型はその素性をさらに活かす方向で各部を最適化(進化したEPS、高応答ショックアブソーバー、スタビライザー剛性アップ、高剛性スタビリンク、アルミ製ナックル、ブッシュ位置変更など)しています。

 スーパーハイト系は全高が高いため走りと快適性の両立がとても難しいのですが、新型の走りは従来モデルから大きくレベルアップしています。

 ステアリング系はフリクションが少なく滑らかで穏やかな操舵感ながら素直な回頭性。フットワークはハイト系のデイズと錯覚するほど背の高さを感じさせない安定した走りに驚きます。

 具体的にはロールはするものの、グラッと傾くのではなく、安定しながらジワッと踏ん張るため、まるでワイドトレッドになったかのような安定感・安心感があります。直進安定性も軽スーパーハイト系の中では優秀で、高速走行も難なくこなします。

 ちなみにNAモデルはフランス車のような軽やかな動き、ターボモデルはドイツ車のような車両重量以上の骨太さが印象的でした。

 ただ1つ残念なのはタイヤで、ステアリングの手応えの少なさや初期応答がシャキッとしていないところが気になりました。

 このあたりは燃費重視の弊害だと思いますが、個人的には「サクラ」用に開発したリプレイスタイヤといわれるミシュラン・eプライマシーを履かせたら、もっと化けるだろうなとも思いました。

 快適性は、入力の優しさや素直な足の動きによる乗り心地の良さはもちろんですが、体に伝わるまでに上手に吸収されているため、高いシートポジション(軽スーパーハイトでは高め)ながら体が揺れにくく、結果としてフラット感も高いと感じました。

 おそらくこのあたりは、基本素性を活かすサスペンションのセットアップに加えて、体圧分散形状(新型は後席にも採用)や、従来比2倍の柔らかさと伸びを持つメランジ生地のシートの効果も大きいはずです。これらにより、疲れにくさだけでなく、クルマ酔いも確実に減るでしょう。

日産「ルークス X」
日産「ルークス X」

 そろそろ結論に行きましょう。もはや「軽だから」とエクスキューズは必要ない仕上がりです。

 価格はターボモデル(ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション)にフル装備を付けると軽自動車としては高額になるのも事実ですが、プロパイロットやGoogleナビを選択しなければ、NAモデルなら190万円台、ターボモデルなら210万円台から選択可能です(ここにディーラーオプションでディスプレイオーディオを選べば、日常使いではほぼフル装備)。

 今、日産は厳しい状況ですが、復活のカギは「いい商品」です。そういう意味では新型ルークスは、そのきっかけになってくれることは間違いないでしょう。

 すでに発表からわずか2か月で累計2万2000台と、日産の予想を超える販売台数を記録していますが、その勢いを維持するためにも、改良や特別仕様車の設定など、しっかり育ててほしいところです。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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