日産の斬新「“令和版”セフィーロ」がスゴイ! 「画期的すぎる内外装」に“30個以上”のギミック搭載! 「くうねるあそぶ」の多機能セダン復活!? スカイラインベースの「CLV」とは?
生成AIの普及やアウトドア需要の高まりにより、クルマは移動手段から生活空間へと役割を広げつつあります。日産が2023年に公開した「コンテンポラリー ライフスタイル ビークル(CLV)」は、そうした変化を先取りしたモデルでした。一体どのようなモデルなのでしょうか。
「くうねるあそぶ」を現代解釈した「令和版セフィーロ」
近年、生成AIの普及やアウトドア需要の定着などにより、モビリティを巡る価値観は大きく変化しています。
そんな時流を先取りするかのようなモデルを、日産はすでに数年前に披露していました。一体どのようなモデルなのでしょうか。

それが、2023年3月に発表されたプロトタイプ「コンテンポラリー ライフスタイル ビークル(CLV)」です。
CLVの思想は、1988年に発売されたセフィーロのキャッチコピー「くうねるあそぶ」に端を発しています。
日産はこれを現代の生活様式へ再解釈し、セダンというフォーマットを保ちながら、車内で快適に食べ、眠り、遊ぶという日常行為を自然に成立させることを目指しました。
単に機能を追加するのではなく、「セダンのまま、どれだけ生活を豊かにできるか」という挑戦が込められています。
開発の核となった発想は、フランス語で「寄せ集めて繕う」を意味する「ブリコラージュ」です。
既存の素材や技術を創造的に組み合わせて新たな価値を生み出すという考え方で、日産総合研究所 横浜ラボの上田哲郎氏は「成熟した技術環境の今だからこそ、素朴な観察と直感が活かせる」と語っています。
開発陣はスカイラインの車内に長時間身を置き、生活者の目線で“欲しくなる仕掛け”を探り続けたといいます。
ベースとなった現行型「スカイライン」は、3リッターV6ツインターボを搭載した上質なスポーティセダンで、その広さと質感はCLVの実験に最適でした。
そこへ30以上もの独自機能が追加されています。たとえば、アームレスト内部に収められたスライド式サイドテーブルは航空機のビジネスクラスのように自然で、車内での軽食やワークスペースとして役立ちます。
さらに保温機能付きボトルヒーター、脱着式のカーナビ画面とステアリングホルダーの組み合わせなど、現代の働き方やライフスタイルに寄り添う工夫が随所に盛り込まれました。
仮眠や休憩を前提とした仕掛けも特徴的です。シート同士の隙間を埋める専用スペーサーによって前席でも快適に横になれ、後席を倒せばフルフラットのベッドスペースが生まれます。
天井のムーンルーフビジョンでは映像鑑賞も可能で、セダンとは思えない心地よいくつろぎ空間が広がります。
そして、こうした体験の中心にあるのが、CLVの象徴ともいえるAIアシスタント「SORA」です。
SORAは車内の各所に配置されたセンサーから乗員の状態を読み取り、習慣や好みを学習しながら成長します。
傘の入れ忘れを知らせたり、ブランケットの洗濯時期を提案したり、食事中かどうかに応じて照明を自動調整したりと、従来の音声アシスタントとは一線を画す存在です。
さらに、ドライバーの状態を判断して自動的に最適なシートポジションへ調整するなど、休憩の質そのものを高める役割も担っています。
SORAは「搭載された機能」というより、車内に“同居する存在”と表現したほうがしっくりきます。
「遊ぶ」という視点でも、細やかな工夫が随所に見られます。サイドシル内に収納できる長傘スペース、ハンガーに変形する後席グリップ、サイドミラー内蔵の小型ゴミ箱、アウトドア用の汎用フックなど、生活のシーンを丁寧に拾い上げた装備は、まさにブリコラージュの思想が結晶化したものといえるでしょう。
2023年の発表から2年以上が経った今、CLVは単なる話題作にとどまらず、モビリティの未来像を示す“示唆的な作品”として再評価されています。
ワーケーションや車中泊が定着した2025年の社会にあって、「セダンで生活を豊かにする」というCLVのテーマは、むしろ時代の必然性を帯びてきました。
人とクルマ、そしてAIがどのように共生し、生活を拡張していくのか…CLVはその未来へ至る過程を、一足早く形にした存在だと言えるでしょう。
Writer: くるまのニュース編集部
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