日産の「現代のケンメリ」が凄かった! 美しい2ドアクーペの「旧車デザイン」に斬新「トモアキブルー」採用! 現代に蘇った“伝説モデル”「NEO SKYLINE」カスタムカー TAS2025披露モデルとは
2025年1月に開催された「東京オートサロン2025」で、日産・自動車大学校から出展されたカスタムカー「NEO SKYLINE」が話題になりました。いったいどのようなクルマなのでしょうか。
まるで現代版ケンメリ!
日産グループの自動車整備専門学校 日産・自動車大学校では、車体系課程の学生による習得技術の発表の場として、毎年カスタムカーを製作し「東京オートサロン(TAS)」に出展しています。次回、2026年1月開催のTAS2026でもカスタムカーを披露する予定です。
2025年1月に開催された前回のTAS2025では、京都校の自動車整備・カスタマイズ科4年生が「NEO SKYLINE(ネオスカイライン)」を6ヵ月で製作し、披露していました。
「現代のケンメリ」というコンセプトで製作された同車ですが、いったいどのようなクルマだったのでしょうか。

「ケンメリ」とは、1972年9月に発売された4代目「スカイライン(C110型)」の愛称です。当時のアメリカ車をイメージさせる斬新なデザインが人気を博しました。
さらに、「ケンとメリーのスカイライン」というキャッチコピーで打ち出された若い男女のデートシーンを流したCM効果もあり大ヒットし、当時の若者の間では“ケンメリ”の愛称で呼ばれる人気車となりました。
ネオスカイラインは、1970年代に一世を風靡したこのケンメリをオマージュし、学生たちが新たな魂を吹き込んだカスタムカーです。
ベース車両は11代目スカイライン(V35型)の2ドアクーペ「スカイラインクーペ」。
車名に付けられた「NEO(ネオ)」には、製作した学生から30代~50代それぞれの年代に向けた想いが込められており、“N”は「懐かしさ(Nostalgia)」、“E”は「夢中(Enthrall)」、“O”は「斬新さと独創性(Originality)」。それぞれの頭文字を組み合わせた「NEO」と「SKYLINE」と組み合わせた車名としました。
実際のケンメリのパーツやデザインを使ってケンメリらしさを残しつつ、現代に合わせた新しいスタイルも組み込まれたカスタムカーです。
製作を担当した学生(当時)によると、ケンメリをオマージュしたが、本物のケンメリのパーツを使ってしまうと“次世代感”がなくなってしまうので、別のパーツを用いることもしたといいます。
フロントマスクは、ボンネットやフェンダーなどのインナーパネルはV35型のパーツをそのまま使用し、アウターパネルのみを自作。
ヘッドライトはバイク用の丸目2灯を使用。ライト周辺のベゼルは学生自らCADで設計し、3Dプリンターを用いて成形したこだわりよう。
ボディサイドの特徴的なサーフィンラインは、V35型スカイラインのインナーパネルを活かして新しく描かれています。
一見、最新のダッジ「チャレンジャー」を思わせるものの、側面から見ると長いテールがアルファロメオのクラシックモデルである「ジュリエッタ・スプリントスペチャーレ」(1959年)を連想させ、スカイラインらしさに加えて欧州車のような端正なスタイリングも感じます。
クオーターには「Skyline」と「GT」のバッジを装飾。「Skyline」のバッジはケンメリのものを、「GT」のバッジは現行スカイライン(V37型)の特別仕様車「NISMO」の赤バッジをブルーに塗装して使用しています。
細かな部分にも新旧合わせたコンセプト通りのこだわりが詰め込まれています。
さらに、インテリアやパンフレットに使用される「NEO」の文字は、10代目スカイライン(R34型)に搭載された、高性能・環境配慮型の新エンジン「NEOストレート6」から流用。
以上のように、外装のモチーフの所々には歴代スカイラインのものが採用され、日産の名車スカイラインに対する敬意も表しているといいます。
そして、ネオスカイラインはリアエンドの造形も見事です。
ケンメリの特徴ともいえるリアデザインを、ケンメリのテールランプではなく大型トラック用に市販されている丸形4灯式LEDテールランプを採用。
丸目のデザインを現代風に流用し、懐かしさと斬新さを兼ね備えたデザインに仕上げられています。
ボディカラーは、色を考案した学生の名前にちなんだ「トモアキブルー」を採用。世界にひとつのボディカラーは、学生の想いが込められた特別なカラーリングといえます。
インテリアには、ブラックをベースにブルーのアクセントをあしらったレザー素材を使用。カスタムカーの製作に協賛した自動車部品メーカーのサンショウと共同開発したオリジナルシートカバーも装着されています。
ネオスカイラインは、東京オートサロンの会場でケンメリを知る40代や50代の来場者からもたくさんの注目をあびたそうです。
往年の名車の特徴を活かしつつ、現代風のカスタムを施した魅力的なカスタムカー ネオスカイライン。TAS2025を大いに沸かせてくれた注目の1台でした。
きっと次回のTAS2026にも、学生製作による夢のカスタムカーが登場することでしょう。
Writer: TARA
トヨタ自動車のある愛知県在住。学生時代にクルマやバイクに魅了される。大手オイルメーカーに就職し、自らもモータースポーツに参戦開始。その後は鈴鹿サーキットで勤務しつつ、カートレースやバイクレースを経験。エンジンやサスペンション、タイヤや空力などの本格的な知識を得る。現在はプライベートでさまざまなクルマやバイクに触れながら、兼業ライターとして執筆活動に勤しむ。現在の愛車はトヨタ ヴォクシー/ホンダ N-BOX。











































