ヤマハ「YZ」、スマホアプリでエンジンパワーも即座にチューニング! もうそんな時代です
ヤマハの新しい取り組みは既成概念にとらわれないこと!
最後にもうひとつ、エンジンを見て「アレ…!?」と、気付いた人はかなり鋭い! 「YZ250F」と「YZ450F」のDOHC4バルブ単気筒は、前方から吸気し後方に排気する独創的なエンジンレイアウトを採用しているのです。「YZ450F」は2010年モデル以降、「YZ250F」では2014年モデルからこうなっています。
前方吸気・後方排気のエンジンは昔から何度もトライされてきましたが、主流にはなってきませんでした。ヤマハは既成概念にとらわれず、車両の前方からフレッシュエアを取り入れてストレートに効率良く吸気できることに着目し、ニューエンジンの開発に取り組んだのです。
新気を後方から取り込むより、前方から吸入した方がエンジンの熱の影響を受けにくく、また自車が巻き上げたダストを吸い込みにくいと考えました。吸気抵抗の少ないストレートな吸気通路を確保するため、エンジンのシリンダーは後傾させて搭載。エキゾーストパイプは、排気管長を確保するためにシリンダーのまわりを1周させてからシート下をくぐらせる設計となっています。
19年型「YZ250F」は吸排気ポートを新設計し、クラッチ容量も増加。「YZ450F」と共通のプラットフォームは約15%剛性を高め、エンジンも車体も劇的に進化しているのです。いつの間にか、色々とスゴイことになっている最新モトクロッサーの話しでした。
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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。