「恐怖!?」 盗難車のトヨタ「ランドクルーザー2台」を港でギリ発見! 「コンテナ詰め密輸」を直前で阻止! 「告発しました!」“最後の砦”横浜税関が「摘発事例」公開 犯人は“高額罰金”
横浜税関は、盗難車を輸出しようとした者を摘発した事件の詳細を明らかにしました。
2000万円の「ランクル2台」不正輸出を阻止
横浜税関は2025年11月27日、摘発事例を発表。盗難車の不正輸出未遂事件の詳細を明らかにし、犯則者を告発したと発表しました。
一体何があったのでしょうか。

事件は2025年6月23日に横浜税関で発生しました。
通関手続きの検査で、外国に輸出するコンテナを職員がチェックしたところ、申告があった物品とは違うものが詰められている(虚偽証明輸出)ことを発見しました。
神奈川県警山手警察署と共同調査を進め、11月27日に関税法違反で横浜地方検察庁に告発したといいます。
コンテナに詰められていたものは、「盗難車」でした。
行先はアラブ首長国連邦で、輸出される直前で発見したことから、未遂に終わりました。
発表資料には、摘発された当該コンテナの複数の写真が添付されています。
当該コンテナは、扉を開けただけではフロントバンパーやタイヤ、ラジエーター、クルマのルーフパネルなど、中古パーツが大量に詰められています。
しかし、扉の手前にあるこれらの中古パーツをかき分けたところ、トヨタ「ランドクルーザー」(現行モデル・300系)の車体2台も隠されていました。時価総額は約2000万円だといいます。
このことから、犯則者は「このコンテナの中身はクルマの中古パーツです」と嘘をつき、中古パーツで秘匿して、盗難車を不正輸出しようとしたとみられます。
盗難車のランドクルーザーは、1台はフロントのアルミホイールが取り外された状態でそのままの“丸車”ですが、もう1台はバンパーや前後のライト、ボンネット、フロントフェンダーなどが取り外された状態で、包装用シートで養生されていることがわかります。
これは、クルマ丸ごとだと検査で容易に見つかってしまうため、「廃車した解体車です」とするために外したか、あるいは盗難車の出どころを隠すため、その足跡がバレないように細工した、という偽装工作も考えられます。
事件に関わった犯則者は関税法第111条に基づき、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその「どちらも」が科せられる可能性があります。もちろん不正輸出しようとした物品は、その場で即没収です。
※ ※ ※
自動車盗(自動車盗難)の件数は、新車への盗難防止装置の標準装備や市中の防犯カメラ設置などから2000年中頃をピークに1割以下に減少しました。しかし、警察庁の最新データでは、2024年の1年間で6080件が依然発生しています。
現在の自動車盗は、強盗や詐欺などの犯罪で使うためにクルマを調達するのではなく、中古車として海外で販売してお金を稼ぐのが目的となっているため、特定の車種をターゲットに絞って発生している傾向にあります。
主に海外で中古車ニーズが高いモデルをターゲットにしており、今回のランドクルーザーのほかトヨタ「アルファード」「ハイエース」「プリウス」、レクサス「LX」「LS」「RX」などが特に狙われています。
一度盗難して持ち出されると、ナンバーを付け替えて追跡を撹乱させられるほか、すぐに窃盗団のヤードに持ち込まれて細工されたり、コンテナ詰めにされ、輸出される手続きが取られるため、取り戻すことはほぼ不可能です。
そのため、実質的に港湾で輸出入を管理する税関が、盗難車を見つける「最後の砦」になっています。
こうしたことから近年、税関は水際取り締まりを強化しており、中古車では正しい手続きが取られたどうかを確認するため、「輸出抹消登録証明書」などの正式な書類の提出を求めたり、直接の車台番号の確認を実施。
さらに、コンテナを「大型X線検査装置」に通し、ひとつずつ開けることなく不正輸出を発見できるようにしています。
また、盗難車のみならず、不正薬物や拳銃などの社会悪物品や、特許権や意匠権などを侵害するいわゆる「偽ブランド」の“バッタモン”などの水際取締りも強めているといいます。
一般からの密輸情報の提供も呼びかけており、公式の情報提供サイトや密輸ダイヤル「0120-461-961(シロイ・クロイ)」でも受け付けています。
Writer: くるまのニュース編集部
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