「雪国専用」!? “謎”バージョン「寒冷地仕様車」どう違う? 知ってるようで知らない「装備差」何があるのか

「プリウス」の寒冷地仕様が4WDにオプション設定されない理由とは

 続いてエンジン回りも見てみましょう。

 エンジン冷却水は、通常濃度である「30%」のままではマイナス15度ぐらいで凍結し、ラジエターや配管を破損する恐れがあります。

 そのため、寒冷地仕様車のエンジン冷却水には、およそマイナス35度まで凍結を防止する「50%濃度冷却水(LLC)」に変更されています。

積雪地以外でも「寒冷地仕様」は役に立つ!?[画像はイメージです]
積雪地以外でも「寒冷地仕様」は役に立つ!?[画像はイメージです]

 なおプリウスの場合、寒冷地仕様車がオプション設定されているのは2WD車でのみで、雪国で重宝する4WD車にはなぜか設定がありません。

 実は4WD車には、寒冷地仕様が最初から「標準装備」となっているのです。こうしたケースは、他社も含め多く見られます。

 雪国以外のユーザーが4WDを選ぶことが少ないことから、仕様を分けずに1本化しているものと思われます。

 ちなみに装備がプラスされているので、寒冷地仕様車は価格もプラス料金がかかります。

 プリウスの場合、寒冷地仕様車を選択するとプラス2万900円から3万800円(価格は消費税込み)となります。

 なお価格差があるのは、グレードによっては一部装備が標準装備されているためです。

 クロスカントリー型四輪駆動車の人気モデル「ランドクルーザー250」についても見てみましょう。

 こちらは全車が寒冷地仕様が標準装備となっています。

 また、より過酷な悪路走行を想定したモデルだけに、プリウスの寒冷地仕様車には設定がない装備が用意されています。

 例えば「ウォッシャー液レベルウォーニング」は、ウォッシャー液が残りわずかになった際に、マルチインフォメーションディスプレイに警告メッセージを表示するものです。

「ビスカスヒーター」は、電気式の補助ヒーターにプラスして冷却水を早く暖めます。

 このほか、冬場のエンジン始動性や、電装品利用などを考慮した「大容量バッテリー」、発電流用の高い発電性能を持った「高性能オルターネーター」、冬場のエンジン始動性能を高めた「高容量スターター”などが装備されます。

 冬季の悪路走行でも安心して走破できる装備といえます。

※ ※ ※

 ホンダ、マツダ、スバルの各モデルに関しては、全車が寒冷地対応(OEM車等除く)となっています。

 寒冷地に居住しているドライバーにとって寒冷地仕様車は、冬季に安全で快適にクルマを利用するためにマストなものです。

 ただ、温暖な地域の居住者でも、悪天候時の安全性が高まる機能も付与されています。

 特にウインタースポーツを積極的に楽しむドライバーは、寒冷地仕様車を選んでおくのが良いでしょう。

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