ホンダ軽バンの新機軸「Nバン」、最大のライバルは「Nボックス」!?

年間7万台以上のエブリイの牙城崩せるか

 この特徴的なグレードに加え、外観をドレスアップするアイテムや車中泊を快適にするマルチボードなどのオプションが豊富に用意されており、レジャーユースとしても大きな可能性を持っているモデルであることが分かります。

様々な物が詰め込める、Nバンの荷室

 すでに国内のいくつかのキャンピングカーメーカーは、Nバンをベースにしたモデルの開発に着手しており、秋にはニューモデルを発売するという話も出ています。

「Nバンはあくまでも仕事のためのクルマ」と開発者の一人は言い切りますが、助手席まで床面が完全にフラットになる機能や運転席が180度まで倒れる機能、助手席側ピラーレスなどはライバルの商用バンにはなく、MTBやフィッシング、オートキャンプなど多様なレジャーへの対応を期待させてくれます。

 一方で、126.8万円から169.1万円という価格は、どのライバルより高い設定で、機能やスタイリングを考えると実はライバルはファミリーのNボックスになるのではという見方もあります。これについてホンダの広報は「Nボックスは人を運ぶクルマですが、Nバンは荷物を運ぶクルマという位置づけ。互いがシェアを奪い合うというわけではなく、ユーザーさんの選択肢が広がったと考えています」と言います。

「後席の面積が荷室より広くてはならない」という4ナンバー軽商用車の条件はNバンも例外ではなく、+スタイルではライバルより快適なシートを採用しているとは言え、シートリクライニングができない後席で長時間のドライブはきついものがあります。後席はあくまでもエマージェンシーとして考え、1人もしくは2人での使用を主体にすれば、十分に日常やレジャーにも使えます。

 またNAエンジン以外にターボエンジンが設定されているので、高速道路を使っての長距離移動も快適。AT車はCVTを使っているので、エブリイやハイゼットのATに比べると快適で走りがスムーズ。FFということもあって、NA車で23.8㎞/L、ターボ車でも23.6㎞/Lという燃費(共にJC08モード)は、企業のみならず私たち一般人にも嬉しいポイントです。

 “日本一売れている軽自動車”NボックスのDNAを持ったNバンですが、軽商用バンの世界に示した新しい価値観が、年間7万台以上を販売するエブリイの牙城をどこまで崩すのかが楽しみです。

【了】

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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