1リッターで「47km」走るトヨタ車!「プリウス」超える“超低燃費”実現した「コンパクトカー」がスゴイ! 斬新「2気筒エンジン」&“独自技術”搭載! 全長3.5mの軽量「3ドアハッチバック」“ES3”とは!
かつてトヨタが環境性能を極限まで磨き上げた「ES3」とは、一体どのようなコンパクトカーだったのでしょうか。
1リッターで「47km」走るトヨタ車がスゴイ!
2025年10月末から開催された「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」では、未来のモビリティに対する新たなアイデアが数多く提示されましたが、同時に過去のモーターショーで発表された先見的なコンセプトカーも、今なお忘れがたい魅力を放ち続けています。
本記事で注目するのは、トヨタが2001年の「第35回東京モーターショー」で世界初公開したコンパクトカー「ES3(イーエスキュービック)」が提示した、環境性能における極限ともいえる価値です。

ES3は、当時トヨタが掲げた「夢のある新しいモビリティライフ」というテーマのもとに開発された、エコロジー性能に飛び抜けて秀でたコンセプトモデルです。
同車の開発目標は、後のハイブリッドカー普及を見据え、高水準の環境性能と燃費性能を徹底的に追求することにありました。
その結果、ES3は欧州NEDC測定方法で1リッターあたり47km(当時の社内測定値)という、現在から見ても最高水準にある驚異的な燃費性能を誇りました。
この超低燃費を実現した背景には、多角的なエンジニアリングの追求があり、トヨタは「軽量化」「走行抵抗の低減」「パワートレインの効率向上」「熱マネージメント」「節電」という5つの要素を徹底的に磨き上げました。
まず、車体にはアルミと樹脂素材を多用し、車両重量をわずか700kgに抑制。
ボディサイズは全長3520mm×全幅1630mm×全高1460mmという実用的なコンパクトサイズを維持しながら、Cd値0.23という優れた空力特性を持つ流麗なフォルムを実現しました。
さらに、高発泡材料を採用することで車内の温度調節に必要なエネルギーを低減し、熱マネージメントの改善にも貢献しています。
パワートレインは、当時新開発の1リッター2気筒エンジンにハイブリッドシステムを組み合わせたもので、トルクに優れたロングストローク型エンジンが採用され、燃費効率の良い走りを両立させました。
また、ES3は燃費性能だけでなく、環境負荷物質の削減においても先駆的でした。
新触媒システム「DPNR」を採用してクリーンな排気を追求したほか、リサイクル性に優れたTSOP(トヨタスーパーオレフィンポリマー)をさらに進化させた樹脂素材や、植物由来の生分解性樹脂(バイオプラスチック)を積極的に採用。
これは、クルマのライフサイクル全体を見据えた、資源循環への強いコミットメントを示すものです。
エクステリアは、後方に緩やかに流れるルーフラインやリアサイドの絞り込み、フラットフロアによって、空力特性に優れたスポーティな形状を構築しています。
インテリアは、アルミのリインホースメント(補強材)をインストルメントパネルの一部として見せる意匠や、透過式センターメーター、手元操作ができる新たなスイッチシステムなど、未来感を演出したデザインが特徴的でした。
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このようにES3は、その先進的な技術力と、低燃費、低エミッション、高リサイクル性を高次元で実現したエコロジーモデルとして誕生しましたが、残念ながら出展から約24年が経過した現在も市販化は実現していません。
しかし、このモデルで培われた「燃費を極める」という技術的知見は、その後の「プリウス」や「アクア」といったトヨタの量産ハイブリッド車に深く活かされており、現代の電動化時代における「効率追求」という価値観の礎を築いた、自動車史における重要なコンセプトカーなのです。
Writer: パワーボム
関西大学社会学部卒業後、某CS放送局運営のメディアにてライターとしてのキャリアをスタート。自動車ブログの立ち上げから携わり、主にトヨタ車やレクサス車、キャンピングカーを中心に取材記事を多数執筆する。








