BMW「5シリーズの“ロング”」ってもはや「7」でイイのでは? “車好き界隈”の「永遠の疑問」を比較検証! 見えてきたそれぞれの“違い”とは

BMWジャパンは2025年4月、「5シリーズ」のロングホイールベース仕様「525Li」を発表しました。全長5.1m超えという堂々としたボディは、上級の「7シリーズ」に迫るサイズです。では乗り味や快適性はどれほど違うのでしょうか。今回は両モデルを乗り比べ、そのキャラクターの差を西川昇吾氏がレポートします。

5シリーズ“ロング”と7シリーズはどこが違う?

 BMWのロングホイールベース仕様である「525Li」は、通常の「5シリーズ」とは異なるキャラクターを持つモデルです。

 一方で、「7シリーズ」は長年ショーファードリブンとしての完成度を高めてきたフラッグシップ。今回の比較では、この2台が走りや快適性でどのような違いを見せるのかが改めて浮き彫りになりました。

ロング化された5シリーズ「525Li」とフラッグシップ「7シリーズ」。乗り比べると、それぞれが目指す“キャラの違い”がより鮮明に見えてくる(Photo:Daijiro Kori)
ロング化された5シリーズ「525Li」とフラッグシップ「7シリーズ」。乗り比べると、それぞれが目指す“キャラの違い”がより鮮明に見えてくる(Photo:Daijiro Kori)

 長年BMWの中核を担うモデルとしてラインナップされている5シリーズセダン。現行モデルにはロングホイールベース版である「525Li Exclusive M Sport」が追加されています。

 2025年4月に日本市場へ投入されたこのモデルは、5人乗りでノーマルボディに比べてホイールベースは110mm長い3105mm、全長は115mm長い5175mmへと拡大されています。

 なお、今回の比較対象となる「740d xDrive Excellence」はホイールベース3215mm、全長5390mmと、数値上でも両者の距離は非常に近いことが分かります。

 525Liの特徴を端的に表すなら「上級装備コミコミモデル」。レザーメリノシートやBowers&Wilkinsのオーディオシステムなど、通常はオプションとなる豪華装備が標準で備わっています。

 今回の試乗車も追加オプションはなく、長いホイールベースと全長が許容でき、かつ豪華装備を求めるユーザーにとっては、この525Liは非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。

 パワートレインは、2リッター直列4気筒ターボにマイルドハイブリッドを組み合わせたもので、最高出力190馬力、最大トルク310Nmを発生。モーターは11馬力・25Nmをアシストします。

 なお、現行5シリーズのラインナップには、BMW伝統の直列6気筒エンジンを搭載するモデルは設定されておらず、4気筒ガソリン/ディーゼル、BEV(電気自動車)、そして高性能モデルの「M5」においてのみ、V8ツインターボ+PHEVシステムが採用されています。

 一方、740dは3リッター直列6気筒ディーゼルターボにマイルドハイブリッドを組み合わせ、286馬力・650Nmという圧倒的なトルクを発生。モーターも18馬力・200Nmと余裕のある数値を備えています。

ロングホイールベースながら、ワインディングでは軽快に走る525Li。3m超のホイールベースを感じさせない身のこなしが印象的(Photo:Daijiro Kori)
ロングホイールベースながら、ワインディングでは軽快に走る525Li。3m超のホイールベースを感じさせない身のこなしが印象的(Photo:Daijiro Kori)

走りは軽快! ロングでも“5シリーズらしさ”健在

 ロングホイールベースという先入観を持って試乗を開始すると、その軽快なハンドリングにまず驚かされます。ワインディングでは3mを超えるホイールベースを感じさせないほど、コーナーを軽やかに駆け抜けていく印象です。

 対照的に想像していたよりも直進安定性が高い!というわけでもなく(サルーンとして考えれば十分なレベルにありますが)運転してみた限りではロングホイールベースらしさは良くも悪くもあまり感じられません。

 しかし、後部座席に乗ってみると印象は一変します。フロントシートでも多少感じられた乗り心地の良さは後席でより顕著で、静粛性も高く、前後の距離が広がったことで会話がしやすい点も印象的です。全体的に、後席のコンフォート性能をしっかりと高めたことがロングホイールベース化の恩恵といえるでしょう。

 ただし、後席の快適性という意味では、兄貴分の7シリーズが長年こだわり続けてきた領域です。実際に乗ってみると525Liも十分に快適ですが、740dの後席では「やっぱり7シリーズは超えられない」と感じさせられます。

 それはBMWがあえて作っているヒエラルキーなのかもしれませんが、ショーファーカーとしての優秀さは7シリーズの方が上です。

 特に乗り心地の“しっとり感”は圧倒的で、後席専用のシート機能やエンタテインメント装備の充実ぶりなど、ショーファーカーとしての完成度はやはり7シリーズが上です。

 意外だったのは静粛性で、両者に極端な差がない点。直列6気筒ディーゼルと直列4気筒マイルドハイブリッドという違いはありますが、どちらも高いレベルの静粛性を備えています。

 740dを自身で運転してみると、5シリーズに比べてどっしりとした雰囲気が強く、直進安定性が非常に高い印象です。高速道路の長時間移動では疲れにくいのはこちらと言えるでしょう。

3リッター直列6気筒ディーゼルを積む「740d xDrive Excellence」。力強い加速と高い静粛性を両立し、ショーファードリブンとしての完成度も高い(Photo:Daijiro Kori)
3リッター直列6気筒ディーゼルを積む「740d xDrive Excellence」。力強い加速と高い静粛性を両立し、ショーファードリブンとしての完成度も高い(Photo:Daijiro Kori)

 しかし、ワインディングではサイズと重量を感じさせないしなやかな動きを見せ、ドライバーへのインフォメーションも豊かで、ショーファーカーでありながら“駆けぬける歓び”をしっかり体現している点はBMWらしいこだわりを感じます。

 ワインディングでの軽快感という意味では525Liの方が上で、オーナードライバーズカーとしてのキャラクターは525Liのほうが強い印象です。一方で740dは“運転も楽しめるショーファードリブン”として完成度が高く、両者の方向性は明確に分かれています。

 コンフォート性能、ハンドリング性能、そして“駆け抜ける喜び”といった項目はどちらも非常に高いレベルにありますが、実際に乗り比べてみると、525Liはオーナードライバーズカー、740dはショーファードリブン。ボディサイズが近くても、それぞれのキャラクターはしっかりと住み分けられていました。

 価格(消費税込)も525Liの948万円に対し、740dは1666万円と明確にフラッグシップの位置づけです。

 今回の比較を通じて、BMWが“3・5・7”という数字に込めている意味が改めて明確にあることも再認識した機会となりました。

【画像】超カッコいい! これがBMWの「5シリーズの“ロング”&7シリーズ」です! (49枚)

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Writer: 西川昇吾

1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。

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