初参戦初優勝のヤマハ「TY-E」 開発者はメカニカルクラッチとフライホイールで勝利を確信していた!
ヤマハの電動トライアルバイク「TY-E」は、競技前に勝利を確信していました。その理由を世界選手権前に「TY-E」開発プロジェクトリーダー豊田剛士さんから事前にお話を聞いていました。
開発リーダーに事前に聞いていた、初挑戦初勝利のシナリオ
ヤマハ発動機が開発した電動トライアルバイク「TY-E」は、トライアル世界選手権のエレクトリッククラスに初参戦し、見事に優勝を果たしました。
トライアルEクラスは2017年に始まったばかりで、今年は全2戦でタイトルが決まります。YAMAHA FACTORY RACING TEAMの「TY-E」が勝利を収めたのは、開幕戦であるフランス大会(オロン、7月15日決勝)で、最終戦はベルギー・コンブレンオーポンにて22日に決勝がおこなわれる予定です。
「TY-E」のライダー黒山健一選手は「今週末の第2戦も待ちきれません」と、自信たっぷり。連勝でのシリーズチャンピオン獲得を期待せずにはいられません。
じつは「TY-E」の開発プロジェクトリーダー豊田剛士さんには、バイクジャーナリストの筆者(青木タカオ)が世界選手権参戦前にじっくりとお話を伺いました。最終決戦を目前にして、今だから公開できるインタビューの模様をお伝えいたしましょう。
青木タカオ(以下:青木):そもそも、どうしてトライアルマシンをEV化しようと思ったのでしょうか。
豊田剛士さん(以下:豊田さん):自分がトライアルを趣味でやっていまして、好きだったっていうのもあります。トライアルの競技人口が減っている傾向なのですが、トランスポーターにマシンを積んで郊外に出掛けていくというのは、これから始めようという人には少しハードルが高いかもしれません。電動なら自分の家の庭でできるかもしれませんし、街の中にトライアル場をつくることも将来あり得ます。そういった可能性が広がればいいなと思ったのも事実ですね。
青木:なるほど。黒山選手が初めて乗ったのは、いつだったのでしょうか?
豊田さん:じつは2年前の時点で、すでに試作車がありまして、そのときから黒山選手には良い印象を持っていただいていました。そこから開発を進めて、今回の車両に乗ってもらったときも良い印象をそのままに、さらに軽量化が進み出力も上がっていたことに驚かれていたのを覚えています。
青木:今回の車両に乗ったのは、いつですか?
豊田さん:およそ1年後ですね。「たった1年で、こんなにも変わるんだ」と、言っていました。