「可搬式オービス」による“取り締まり情報”を警察がSNSで発信! “抜き打ち”じゃないのは一体なぜ? 愛知県警と大分県警に聞いてみた

各都道府県警察は近年、SNSを駆使した広報活動をおこなっています。中には、SNSで「可搬式オービス」による速度違反取り締まり情報を発信しているケースもありますが、一体なぜなのでしょうか。

可搬式オービスを設置する道路の条件は? 運転時の注意ポイントも聞いてみた!

 近年は、各都道府県警察がX(旧Twitter)やYouTube、インスタグラムなどのSNSを活用し、特殊詐欺や交通事故への注意喚起のほか、イベントの開催情報、警察官の活動など、さまざまな情報発信をおこなっています。

 中には「可搬式オービス」による速度違反の取り締まり日程や、取り締まり場所などの情報を予告しているケースもみられます。

 なお、可搬式オービスはその名称のとおり警察官が自由に持ち運びできるため、従来は取り締まりが難しかった狭い生活道路や通学路などでの取り締まりに利用されています。

 違反者を取り締まるには事前予告をせず、抜き打ちの状態で取り締まりをおこなった方が良いようにも思われますが、一体なぜ取り締まり情報をSNSで発信するのでしょうか。

愛知県警が2025年10月28日にXで投稿した可搬式オービスによる速度違反取締りの予告(画像:愛知県警察広報課の公式Xより)
愛知県警が2025年10月28日にXで投稿した可搬式オービスによる速度違反取締りの予告(画像:愛知県警察広報課の公式Xより)

 可搬式オービスをはじめ、交通取り締まり情報を定期的に発信している愛知県警と大分県警に話を聞きました。

Q:なぜSNSで速度違反の取り締まり予告をおこなうのでしょうか。

愛知県警:可搬式オービスによる速度取り締まりをおこなうことにより、通行車両の走行速度を抑制することができます。

 SNS等で予告をおこない、速度違反の取り締まりがおこなわれていることを周知することで、ドライバーに緊張感を持って運転していただき、走行速度を抑制する効果を期待しています。

 通行車両の走行速度を抑制することが、重大事故の発生を抑止することにつながるため取り締まり活動の広報をおこなっているものです。

大分県警:県警としては、危険性の高い区間において実際にドライバーが速度を落としてくれることが重要であると考えており、事前に取り締まり情報を広報することで、それを見たドライバーが速度を落とし、より慎重な運転に努めていただくことが期待できるため、事故の抑止につながるものと考えています。

 また、速度違反取り締まりに対する県民の理解をより深めていただく上でも、積極的な情報発信をおこなうことには意味があると考えています。

Q:可搬式オービスを設置する道路は、どのように選んでいるのでしょうか。

愛知県警:住民の方から速度取り締まりの要望が上がっている場所や、事故発生状況、通学路、生活道路、幹線道路などで、走行速度の抑制をおこなう必要が高い場所を選定しています。

大分県警:交通事故を防止するために、通学時間帯における通学路や子ども・高齢者の通行が多い生活道路をはじめ、交通量が多い幹線道路、その他交通事故が多発している場所において取り締まりをおこなっています。

Q:現在の可搬式オービスの保有台数を教えて下さい。

愛知県警:現在11台の可搬式オービスを保有しており、県内各地で運用しています。

大分県警:現在当県警では、3台を保有運用しています。

Q:スピードを出しやすい道路や運転条件など、ドライバーが気をつけるべきポイントはありますか。

愛知県警:速度を出しやすい道路は見通しの良い直線道路などです。制限速度を守らず運転することによって、歩行者の急な飛び出しなどに対応することができず、重大事故の発生につながるおそれがあります。

 そのため、速度規制の標識や標示を見落とすことがないように周囲の確認をしっかりおこない、スピードメーターをこまめに確認するなどして、制限速度を守って運転してください。

大分県警:ドライバーの方に注意していただきたい点が3つあります。

 1点目は「スピードダウン」についてです。見通しの良い直線道路や緩やかな下り坂では比較的速度を出しやすいほか、運転に慣れた道路を走行する際、ドライバーの心理状態として時間に追われていたり、焦りがある場合にも速度を出しやすい傾向にあります。

 いずれにしても、スピードの出し過ぎは交通事故のリスクを高め、死亡事故等の重大事故に直結することから、ドライバーは規制速度を守るとともに、道路環境に応じたより安全な速度で運転するよう心がけていただきたいです。

 2点目は、「前方注視の徹底」についてです。安全運転の基本は、「前方注視」と「安全確認」の徹底です。運転中は脇見をせず、前方・左右をよく見て、進路の安全をしっかりと確認してください。

「ながら運転」は絶対にしないでください。バックするときも後方に歩行者がいないかなど、確認を怠らないようにしましょう。

 3点目は、「横断歩道での歩行者優先の徹底」についてです。横断歩道は歩行者優先です。信号機のない横断歩道の手前には「ひし形マーク」があります。ひし形マークを見つけたら、前方の横断歩道付近に横断歩行者がいないか確認してください。

 横断歩行者がいるかどうか分からないときは、横断歩道の手前で停止することができるような速度に減速して進行してください。横断歩行者がいるときは、横断歩道の手前で停止するようにしてください。

※ ※ ※

 警察では、ドライバーにより緊張感を持って運転してもらうため、交通取り締まり情報の発信をおこなっています。

 SNSだけでなく、各都道府県警察のウェブサイトで取り締まりの予定を公表しているケースもあることから、気になる人はチェックしてみると良いでしょう。

大分県警が2025年11月3日にXで投稿した可搬式オービスによる速度違反取締りの予告(画像:大分県警察の公式Xより)
大分県警が2025年11月3日にXで投稿した可搬式オービスによる速度違反取締りの予告(画像:大分県警察の公式Xより)

【画像】えっ…そんなとこにあったのか! 移動式オービスの場所を画像でみる(20枚)

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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