三菱の「“最上級”4ドアセダン」がスゴい! 和テイストな「すっきりデザイン」×全長5m級の「超ひろびろサイズ」! 2007年発表の“貴金属”風エクステリアも超カッコいい“究極”GTカー「コンセプトZT」に注目

かつて三菱の高級サルーンカーとして君臨した「ディアマンテ」は、2005年に生産終了となりましたが、その2年後、三菱は次世代フラッグシップを感じさせる大型セダンのコンセプトカーを発表しています。どのようなモデルだったのでしょうか。

本気で挑んだ「究極のグランドツアラー」がスゴかった

 三菱自動車工業(以下、三菱)が2007年の第40回「東京モーターショー」で披露した全長5m級のラージセダン「コンセプトZT」。

 車名の「Z」は究極、「T」はツアラーを意味し、「究極のグランドツアラー」として構想されたフラッグシップコンセプトでした。

流麗かつ低重心のスタイリングがカッコいい三菱「コンセプトZT」
流麗かつ低重心のスタイリングがカッコいい三菱「コンセプトZT」

 コンセプトZTは、三菱が考える高級セダンの未来像を示したコンセプトカーでした。

 全長4950mm×全幅1820mm×全高1440mmという堂々たるサイズの4ドアセダンに、当時の三菱の最新技術が集結され、その存在感から、2005年に販売を終えた高級サルーン「ディアマンテ」の後継と期待されました。

 エクステリアは和の感性から創出されたという、シンプルながらも一直線に伸びるウィンドウラインとキャラクターライン、張りのあるサイドパネル、大径タイヤを包み込む力強いフェンダーなどによって、流麗で低重心のスタイリングが特徴的です。

 そこに鋭いヘッドライトや放射状デザインのアルミホイールが加わることで、ラグジュアリーさとスポーティさを併せ持つ雰囲気があり、その姿はどこか欧州プレミアムセダンを感じさせていました。

 ボディ構造には、アルミ押出材とアルミダイカストを組み合わせたスペースフレーム構造を採用。高剛性と軽量化、そして優れた耐衝撃性を両立したことで、次世代セダンにふさわしい先進性も兼ね備えていました。

 また緻密な光輝材を用いたボディカラーや、きらびやかなホイールやグリルなどの加飾パーツの組み合わせで、異なる貴金属を重ねたジュエリーのような上質さや精巧なイメージを強調します。

 インテリアは、未来のコクピットを想像させる先進的なデザインです。

 まず目を奪うのは、ダッシュボード全面に広がる大型ワイドディスプレイ。透明素材を用いたそのパネルは、運転に必要な情報からエンターテインメントまで映し出し、高い視認性を実現するとともに、未来感も演出されていました。

 操作系はドライバー寄りに配置されており、浮かび上がるような造形のセンターコンソールに集約。ステアリングから手を大きく移動することなく操作できる、人間中心の設計思想が折り込まれていました。

 パワーユニットには新開発の2.2リッター直列4気筒クリーンターボディーゼルを搭載。最高出力188馬力(140kW)、最大トルク400Nmを発揮し、新型「ツインクラッチSST」(DCT)との組み合わせによって、スムーズでレスポンシブルな走りを実現。

 ここに三菱自慢の「S-AWC(Super All Wheel Control:車両運動統合制御システム)」が加わることで、駆動力、トラクション、ブレーキが4輪で綿密に制御され、路面状況を問わず高い安定感と走りの楽しさを両立していました。

 先進安全技術も、ミリ波レーダーによるプリクラッシュセーフティや、車線逸脱警報&ステアリングアシスト、歩行者保護ポップアップフード、4つのカメラによるオールラウンドモニター、さらには駐車支援システムまで搭載など、いまでこそ当たり前ではあるものの、2007年当時としてはまさに最先端な技術が搭載されており、「未来の安全カー」というイメージを強く印象付けていました。

※ ※ ※

 非常に完成度の高かったコンセプトZTですが、2000年代前半に発覚した同社のリコール隠し問題の影響もあって、残念ながら市販化には至りませんでした。

 経営再建中だったなかでは、プレミアムセダン市場でライバル車と真っ向勝負しても苦戦するのは必至だと判断したのでしょう。

 しかしながら、当時国産メーカーでは珍しかった「高級セダン×クリーンディーゼル」という挑戦は、日本車としては異彩を放つものでした。

 もしコンセプトZTがあのまま市販されていたら、三菱の新たなフラッグシップとして名を馳せていたかもしません。

 そこから現在の同社の電動化の流れに繋がっていれば、プレミアムPHEVセダンの先駆者として、独自の輝きを放っていたかもしれませんね。

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Writer: 吉川 賢一

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さを伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナなど

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