自動車ユーザーの“税負担”重すぎ! JAFが「自動車税制改正に関する要望書」を公表 クルマには一体どんな税金がかかる?

JAFは2025年11月6日、「2026年度自動車税制改正に関する要望書」を公表しました。先日、自動車のガソリンの暫定税率の年内廃止が報じられましたが、依然として自動車ユーザーには重い税負担がかかっています。

クルマの「購入時」「保有時」「使用時」すべての段階で税金がかかる!

 日本ではクルマに様々な税金がかかっています。

 ガソリン暫定税率の年内廃止が正式合意に至り、ようやく政府の動きも見えてきましたが、依然としてユーザーの税負担は重く、軽減を求める声が上がっています。

自動車には「購入時」「保有時」「使用時」であらゆる税金がかかる!(画像はイメージ、beauty-box/PIXTA)
自動車には「購入時」「保有時」「使用時」であらゆる税金がかかる!(画像はイメージ、beauty-box/PIXTA)

 自民や立憲民主、日本維新の会など与野党6党は11月5日、ガソリン税に上乗せされている暫定税率(1リットルあたり25.1円)を年内に廃止することで正式に合意しました。今後、臨時国会で関係法案を成立させる方針です。

 また軽油引取税の暫定税率(1リットルあたり17.1円)についても、2026年4月1日に廃止することを決定しました。

 なお暫定税率の廃止によって年間で合計約1.5兆円の税収減となることが見込まれますが、この穴埋めとなる代替財源の確保については結論を1年程度先送りするということです。

 これらの暫定税率が廃止されるとガソリンや軽油の価格が安くなり、「自動車ユーザーの負担軽減につながる」と期待する声もありますが、自動車ユーザーには依然として大きな税負担が課されていることは否めません。

 そのような中、一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)は11月6日、ウェブサイトにおいて「2026年度税制改正に関する要望書」を公表しました。この要望書では、このたび報じられた「暫定税率」をはじめ、自動車ユーザーにのしかかる様々な税金の廃止を求める声が上がっています。

 そもそも、自動車に関しては「購入時」「保有時」「使用時」のすべての段階であらゆる税金がかかります。

 まず、自動車を購入した際には「消費税」と、自動車の燃費性能などに応じて税率が決まる「環境性能割」という税金がかかります。環境性能割は2019年10月から自動車取得税に代わる新しい地方税として導入されたもので、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車など、燃費の良いクルマほど税が軽減される仕組みです。

 これについてJAFの要望書では、「環境性能割は自動車取得税の単なる付け替えのようなもので、廃止すべき」という意見が寄せられています。

 JAFが自動車ユーザー15万4341人におこなったアンケート調査によると、「環境性能割は廃止すべき」と回答した人が58.1%と過半数を占めたほか、「廃止すべきではないが、税率を下げるべき」と回答した人が26.2%であり、税の軽減を求める声が多い状況でした。

 さらに自動車を保有している間は、車両の排気量に応じて税金が課される「自動車税」と、車両の重量に応じて税金が課される「自動車重量税」を支払わなければなりません。

 自動車重量税はもともと、1971年(昭和46年)に道路整備をおこなうための道路特定財源として導入された税金でしたが、2009年度の税制改正によって一般財源化され、道路整備に活用するという目的がなくなりました。

 加えて自動車税と自動車重量税は、それぞれ車両の「排気量」と「重量」に応じて税金が課される、似たような趣旨の税金であることから、自動車重量税の廃止を求める声も多く寄せられています。

 そして、自動車は使用する際にも税金がかかります。ガソリン価格を例に挙げると、現在の消費税込みのガソリン小売価格(1リットルあたり)は次のような計算式で算出され、複数の税金がかかっていることが分かります。

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(ガソリン自体の価格+石油石炭税2.8円+ガソリン税53.8円)×1.1(消費税分)
※ガソリン税53.8円の内訳は、本来の税率分28.7円+暫定税率25.1円であり、今回暫定税率25.1円の廃止が決定
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 また上記の計算式から分かるように、石油石炭税やガソリン税に対して消費税がかけられている状態であり、「タックス・オン・タックス(二重課税)ではないか」との指摘もあります。

 上記のJAFによるアンケート調査では「ガソリン税には消費税がかからないようにすべき」と回答した人が90.1%にものぼり、大多数の自動車ユーザーが二重課税状態の解消を求めています。

※ ※ ※

 実は日本の自動車の税負担は国際的に見ても重く、イギリスの約1.4倍、ドイツの約3.4倍、フランスの約9.5倍、アメリカにいたっては約23.4倍という状況です。

 このたびの暫定税率廃止によってガソリン価格が安くなったとしても、自動車ユーザーにはまだまだ多くの税負担があり、今後は課税根拠のない税金の廃止や、複雑な税制度の改正などが求められるといえるでしょう。

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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