国産新車のサンルーフ、絶滅寸前か 中国では「豪華さの象徴」 日本でなぜウケない?
車内に日の光や外気をもたらし、開放感を演出してくれる「サンルーフ」。中国や北米などでは人気ですが、日本では需要が減少。一時期は力を入れていたメーカーも、いまや設定車種を大幅に減らしています。
力を入れていたホンダ、現在では2車種にあるのみ
クルマのルーフ部分に装備される窓を「サンルーフ」といいます。言葉としては開閉式の窓を指し、メーカーや形状によっても様々な呼称がありますが、開閉しないタイプのもの(パノラマルーフやガラスルーフ)も含めて、ひとくくりに呼ばれることもあります。
日の光で車内が明るくなるほか、開ければ外気も入るので、開放感を演出するものとして、特に日照時間が少ない欧州などで好まれる装備です。サンルーフを製造している八千代工業(埼玉県狭山市)も、サンルーフを含めたクルマのデザインでは、欧州メーカーが先進的だといいます。
日本でサンルーフに力を入れていたメーカーのひとつがホンダです。本格的なスライド式サンルーフは1968(昭和43)年発売のホンダ「N360」が、電動式のサンルーフも1978(昭和53)発売の「プレリュード」が、それぞれ国内初といわれています。前出の八千代工業では1986(昭和61)年からサンルーフの製造を始めましたが、同社は現在ではホンダの子会社となっています。
しかし現在、国産車ではサンルーフの設定がほぼなくなってしまったことから、八千代工業ではもっぱら海外向けに製造しているそうです。「昔はオプションで設定されるクルマが多かったのですが、いまはそれも減っています。開閉式でない屋根を透明のガラスにしたパノラマルーフなども同様です」と話します。
2018年7月現在、ホンダでサンルーフの設定がある車種は、「アコード」と「レジェンド」のみだといいます。この2車種の現行モデルはもともと北米向けに開発されたものですので、国内市場向けという意味ではゼロといってもよいでしょう。