38万円で“運転免許不要”!? “超軽量ボディ”の「“軽”自動車」!? 車重400kgでMT採用の「超コンパクトモデル」! RRで全長2.7mボディの“2人乗りマシン”「フライングフェザー」とは
石川県小松市には、日本最大級の自動車博物館である「日本自動車博物館」があります。国内外の新旧様々なクルマが展示されているなか、今回紹介するのは発売70周年を迎えた「フライングフェザー」です。
気軽さに溢れた「フライングフェザー」!
石川県小松市には、トヨタやホンダ、日産などの国産車から、海外の高級車まで幅広く取りそろえている「日本自動車博物館」があります。
日本で最大級の規模で収蔵しているだけに、世界的にも珍しいクルマも数多く展示されています。
今回はその貴重なコレクションのなかから、「フライングフェザー」について見てみましょう。

フライングフェザーは1955年、老舗織物メーカーの子会社である「住江製作所」によって製造されたクルマです。デザインを担当したのは、富谷龍一氏。その後富士自動車に入社して超小型車「フジキャビン」も手掛る人物です。
ボディサイズは全長2767mm×全幅1296mm×全高1300mm。参考までに、一世を風靡した軽自動車「スバル360」のボディサイズは全長2995mm×全幅1300mm×全高1360mm。超小型自動車として知られるスバル360をさらに一回り小さくしたようなサイズ感です。
外観はどこか馬車を思わせるデザインとなっています。ルーフは布製の幌を使用。ボディに使われている薄鋼板はハンドメイドで製作されました。
乗車定員は2人。内装はハンドルに加え、計器・ボタンを数点付いているだけの極めてシンプルなデザインになっています。さらに、前輪ブレーキなどを未採用にするなど、徹底的な簡素化を実施。おかげで、車体重量はわずか400kgになっており、四輪車なのに現代の大型バイクを遜色のない軽量さも大きな特徴です。
フロントボンネット付近につけられたバックミラー、手作り感のあるシートやダッシュボードなどのデザインは非常にレトロな装いですが、現代の目線からはむしろオシャレにすら映ります。
パワートレインは、350ccの空冷V型2気筒OHVと3速MTの組み合わせ。最大12.5馬力、最大トルク約2.2kgf-mを出力します。駆動方式はRR。タイヤにはオートバイ用のワイヤースポークリムと、自動車用としては異様に細い19インチタイヤが使われています。
これらの簡素化などは、ひとえに軽くて扱いやすいことを目指した結果といえます。
また、当時の法規制では運転免許さえ不要だったそうです。それだけに、誰にでも扱えるとにかく機能的なモビリティを目指していたのが見て取れます。
なお、当時のフライングフェザーの新車価格は38万円でした。
ちなみに同じ年に登場したトヨタの純国産車「クラウン」初代モデルが約101万円、前述のスバル360(1958年)が登場時42万5000円で、これらに対抗しうるほどの格安な価格設定を実現することまでは難しかったようです。
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フライングフェザーは当時の市場には受け入られず、翌1956年には生産中止が決定。総生産台数はわずか200台程度で終わりました。
ですが、そのチャレンジ精神は現代人の興味を引くのに十分なものだといえるでしょう。
Writer: 鈴木伊玖馬
愛知県生まれ。飛行機が好きで航空博物館などを取材するうち、自動車関係の記事や取材も手がけるようになる。ホンダ「シビック Type R」のようなホットハッチが好み。
























































