25.1円安くなる? ガソリンの「暫定税率」廃止決定! 実際は12月11日から? 国民生活は変わるのか?

与野党がガソリン・軽油の「暫定税率」廃止で合意しました。ガソリンは年内、軽油は来春に廃止されますが、補助金増額により実質的な値下げは先行します。ガソリンは12月11日時点で25.1円安くなる見込みです。一方で、代替財源の議論が本格化。自動車ユーザーの負担増となる「車体課税」への付け替えが懸念されています。

暫定税率廃止決定、どうなる車体課税?

 与野党6党が10月31日、ついに合意。

 ガソリンと軽油に関連した税金に対する「暫定税率」が、ガソリンが年内、また軽油は2026年4月1日の廃止が確実な情勢です。

 自民党の税制調査会の小野寺五典会長が会見で明らかにしました。

 12月31日から「ガソリン減税」廃止、その前から安くなる?(画像はイメージ/フォトAC)
12月31日から「ガソリン減税」廃止、その前から安くなる?(画像はイメージ/フォトAC)

 それによりますと、野党が8月1日に衆院に提出した「ガソリン暫定税率廃止法案(正式名称:租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案)の一部修正を行い、いまの臨時国会で法改正を実現することを与野党6党で確認したということです。

 ガソリン税では揮発油税と地方揮発油税、また軽油では軽油引取税が暫定税率の対象となります。

 暫定税率は、1974年に道路財源として導入された後、民主党政権時の2010年に「当分の間(とうぶんかん)税率」と名称が変わり、現在まで継続されているもの。

 正確には「旧暫定税率」なのですが、報道や政治家の発言などでは「いわゆる暫定税率」、または単的に「暫定税率」と言われることが多い印象があります。(本稿でも記載は暫定税率)

 では、今後の流れはどうなるのでしょうか。

 まずは、国から石油元売りに対する補助金を段階的に増額します。

 具体的には、現時点で1Lあたり10円程度で実施されている補助金に加えて、11月13日から2週間毎に5円引き上げ(11月13日:15円。11月27日:20円)、そして12月11日には暫定税率分である25.1円に段階的に引き上げます。

 つまり、12月11日の時点でガソリンが25.1円安くなるのです。

 そして、12月31日にガソリンにかかる揮発油税と地方揮発油税の暫定税率を廃止するというプロセスとなります。

 なお、沖縄については、これまでの経緯と地域の実情を踏まえて、本則税率(本来かかる税率)を軽減措置を講じます。

 軽油についてはガソリンと同様に段階的に補助金を引き上げます。11月27日時点で暫定税率分の17.1円を補助した後、来年4月1日に暫定税率を廃止します。 

 ガソリンに比べて暫定税率廃止が3ヶ月遅れる理由は、財源確保、流通への影響、地方財政への配慮等を勘案して上で、地方団体の財政年度が開始するタイミングに合わせたからです。ただ、ユーザーは11月27日時点で軽油は17.1円安く購入できます。
 
 では、ガソリン、軽油の暫定税率廃止による税収減少を補う安定財源はどうするのでしょうか。この点について、これまで与野党間で意見の相違があると報道されてきました。

 その中では他の税金による増税という噂があったことから、ユーザーとして気になるところでしょう。

 この点については、小野寺会長は次のようにコメントしています。

「徹底した歳出改革等の努力による財源捻出を前提としつつ、国際競争力の確保、実質賃金の動向を見極めながら、法人税関係租税特別措置の見直し、極めて高い所得の負担の見直し等、税制措置を検討。令和7年(2025年)末までに結論を得る」。

 これは、年末の税制改正大綱での議論されるという解釈ができます。

 一方「道路関連、インフラ保全の重要性、物価動向、CO2削減目標との関係にも留意しつつ安定財源を確保するための具体的な方策を引き続き検討し、今後1年程度を目途に結論を得る」とも発言しています。 

 この表現ですと、来年の税制改正大綱に向けて、増税の可能性を否定していないという受け止める人がいるかもしれません。

 また、地方税である軽油引取税に関連しては「地方の安定財源については、税制処置や、具体的な引き続き方策検討し、すみやかに結論を得る。地方に心配をかけないことが大切」と地方団体への配慮を示した形です。

 こうした中、国民民主党の榛葉賀津也 幹事長は、前述の与野党合意があった後、10月31日午後の会見で、暫定税率廃止に伴う安定財源について「自動車ユーザーや自動車業界から取るのは本末転倒だ」と発言しています。

 この点については、自動車メーカーなどでつくる業界団体の日本自動車工業会(自工会)が9月、「令和8年度税制改正 重点要望要項」の中で掲げた「ガソリン税 暫定税率廃止の代替財源について、車体課税への付け替えやユーザー負担増につながることは絶対反対」との主張と一致します。

 つまり、ガソリン及び軽油の暫定税率廃止が確実になった10月31日時点でも、こうした話が与野党間協議の中で存在し続けていることを示すものではないでしょうか。

 特に、車体課税については、自動車税(軽自動車税)と自動車重量税の融合し、車両重量をベースとした新税をつくる議論が進行中ですが、その中身ついて詳細な内容はこれまでまったく表に出てきていません。

 自動車重量税にも暫定税率がかかっており、それを知れば多くのユーザーがガソリンと軽油と同様にこちらも廃止するべきだと考えるはずです。

 そうなると、その減収分を含めて新たなる車体課税をどのように制度設計するのかが気になります。

 重量ベースになれば、車格が同じようなモデルでもEVは不利になりますが、それを修正する係数の決め方が難しいところですし、また仮に特例を増やしてしまうと今回の税制改正でユーザーが期待している「くるまの税金の簡素化」との整合性が取れなくなってしまいます。

 このように車体課税の抜本的な変革は、各種の暫定税率廃止とどのように紐づくのか現時点では不明な点が多い印象があります。

 年末の税制改正大綱まで2ヶ月を切ったいま、車体課税に対する多方面での議論がこれから白熱しそうです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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