カワサキモータースは2025年10月29日に開幕した自動車ショー「ジャパンモビリティショー（JMS）2025」で、オフロード四輪車「TERYX」シリーズの最新モデル「TERYX5 H2 DELUXE」を日本初公開しました。

　どのようなクルマなのでしょうか。

　カワサキ「TERYX（テリックス）」シリーズは2008年に登場したオフロード四輪車です。

　オフロード四輪車とは舗装路ではなく、岩山や砂山、泥濘地といったオフロードのレジャー走行で用いるクルマで、1人乗りバギータイプの簡素なものから乗用車のような2人乗り以上のものなどもあります。横2人が座れるものは「サイド・バイ・サイド」とも言われます。

　TERYXはこのうち大型の本格サイド・バイ・サイド車で、高い走破性能だけでなく質感の高いデザインも特徴です。ラインナップには4シーターや5シーターのモデルも用意しており、日本でも4人乗りのレクリエーションモデル「TERYX4」やスポーツ仕様の「TERYX KRX 1000」が販売されています。

　カワサキの担当者はオフロード四輪車の需要について、以下のように話しています。

「北米でのオフロード四輪車は、5人乗りはファミリー向けで家族みんなで楽しむモデルです。前に夫婦を乗せて後ろにお子さんを乗せるという需要はかなりあります。

　2人乗りのほうは、アメリカの東部ではちょっと道が狭かったり、ハンドルをしっかり切らないと曲がれない場所があり、そういった場所では重宝されています。場所によって（オフロード四輪車の）ニーズがちょっとずつ異なるのが特徴です」

　シリーズの最新機種であるTERYX H2は、2025年8月に登場しました。シリーズのフラッグシップモデルで、カワサキのスポーツバイク「ニンジャH2」に搭載される999cc 4気筒4ストロークスーパーチャージエンジンを専用改良して採用。

　これにより、最高出力253馬力・最大トルク198.3Nmを発揮。高耐久CVTと、走行中に切り替えが可能な2WD／4WD＋フロントデフロック機構を組み合わせ、圧倒的なパワーと高い走破性を発揮し、爽快なランディングを実現しました。

　さらにスーパーチャージャーの搭載による独特なサウンドも相まって、ドライバーの興奮も高めます。

　このほかの走行性能では、強固なフレームやFOX製電子制御ダンパー、クイックで正確ハンドリングを実現するEPS（電動パワーステアリング）、270mm径の大型ブレーキを採用。悪路でも快適性を損なわず、また操縦性にも配慮されています。

　そして今回のJMS2025では、最上級モデルTERYX5 H2 DELUXEが日本初公開されました。

　TERYX5 H2 DELUXEが3人がけのリアシート「コンタードスポーツシート」を備える5人乗り仕様で、ボディサイズは全長4050mm×全幅1880mm×全高1815-1875mm、ホイールベースは3200mmです。最低地上高は410mmを確保しています。

　先出の担当者は、TERYX5 H2 DELUXEについて、以下のように話します。

「特徴は、ニンジャH2のスーパーチャージドエンジンを搭載しています。ただし、ニンジャのエンジンをそのまま使っているわけではなく、サイド・バイ・サイド車用に設計しなおして、最大出力が250馬力以上を発揮します。

　具体的には車重に合わせたトルクの出し方や、（バイクと違って）チェーン駆動ではないシャフト駆動なので、このあたりを専用にチューニングしています。

　サスペンションも構造を改良し、ストロークも競合他社と比べて確保しています。さらに74インチトレッドと33インチタイヤを装備することで、走破性を向上させています。

　デザインは抑揚のついたスリークなデザインにしており、ロープロポーションで走りを予感させるようにしました。ただし、（オフロードではサスペンションと車体が干渉するため）機能から来る部分とデザイン性をうまく融合させています」

　デビュー間もないTERYX5 H2 DELUXEですが、現地での評判や今後の展開についても聞いてみました。

「発売後の売れ行きは良いと聞いています。反響はアメリカでも大きい印象です。今のところ日本で販売する予定はありませんが、アメリカではナンバープレートをつけて走行できるので、日本でも走れるようになると良いのですが…」

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　TERYX H2シリーズのラインナップは、4人乗りの「TERYX4 H2」「TERYX H2 DELUXE」、5人乗りの「TERYX5」の3タイプで、北米現地での価格は3万7199ドル（約561万円）から4万3199ドル（約651万円）の間に設定されています。