超小さい「“3人乗り”軽トラ」? ダイハツ“新”「ミゼット“X”」世界初公開! 新「“FR”コペン」も登場!? JMS2025でダイハツが披露したモノとは
ダイハツは2025年10月29日に、ジャパンモビリティショー2025の会場にてコンセプトカー「ミゼットX」を世界初公開しました。どのようなモデルなのでしょうか、山本シンヤ氏が解説します。
軽トラよりも小さい軽トラ?
トヨタグループの中で唯一生い立ちが異なるのがダイハツです。その歴史は古く、1907年に「発動機製造株式会社」として創業。1951年に“大”阪の“発”動機と言う愛称から車名を「ダイハツ」に変更。小さいクルマを中心に個性あふれる商品を数多くリリースしてきました。

2016年にトヨタの完全子会社になりますが、トヨタに気を使ってい良くも悪くも個性を失ってしまった感も否めません。そして、あの認証不正問題……。
筆者はそこから立ち直るためには「クルマで証明」が一番だと思っています。そんなダイハツが新たに掲げたテーマは「小さいからこそできる事」、「わたしにダイハツメイ(大発明)」です。
ダイハツが、トヨタグループの他のブランドと決定的に異なる部分は、クルマが主役ではなく、クルマを通じた“暮らし”が主役だと言う事です。実際にダイハツの主力となる軽自動車は時代のニーズに応じて、柔軟に変化・進化してきた歴史があります。
庶民の“下駄”としての役割が大きい軽自動車ですが、時代ごとに求められる要素が変化し、人気の車種が変わっていく。パワーが求められた時代、速さが求められた時代、バブルの時期には、値段よりも、優れた装備やデザインが重視されました。スポーツカーのようなデザインや走行性能が求められた時代もありました。現在はスーパーハイトワゴンと呼ばれる背の高いスペース効率の高いクルマに人気が集まっています。
そんな軽自動車で忘れてはいけないモデルが「軽トラック」です。その原点と言えるモデルが1957年に登場した「ダイハツ ミゼット」です。戦前主流だったオート三輪の軽自動車版ともいえるモデルで、小口輸送需要を満たす廉価貨物車として開発されました。
徹底した合理化設計(初期モデルはバイクのようなバーハンドルを採用)と大量生産によるコストメリットを活かし、自転車・小型オートバイを用いた「零細事業者にも手が届くモデル」として人気を博しました。
そんなダイハツの原点を現代に蘇らせたモデルが「ミゼットX」です。TV-CMを見ると「新しい軽トラの提案?」と思う人もいますが、実際は軽トラよりもコンパクトなボディサイズ。開発者に話を聞くと「イメージしたのは電動自転車の延長線上にあるモビリティです。ボディサイズは軽規格を目一杯使わず、室内もセンターに運転席/左右にチャイルドシートと言う変則3人乗り仕様、運転もトヨタが開発したネオステア(ステアリングにアクセル/ブレーキも装着:バイワイヤ式)を採用しています。パワートレインは電動ですが、航続距離を限定することでとてもすべてをコンパクトにまとめています」と答えてくれました。
デザインは初代・2代目をオマージュしたモノですが、街で見かけるとクルマでありながらキャラクターのような雰囲気で、思わずホッコリしてしまうような癒し系で、街中の風景も変わりそうな予感がします。
デザイナーも「普段は軽規格いっぱいの中でデザインしていますが、今回はそこに拘らなくてもいいので思い切ったデザインができた自負しています」と教えてくれました。ボディボディカラーのグリーンは初代のグリーンを現代的にアレンジしたモノだそうです。
ドアは逆ヒンジで開閉操作はドアノブではなくダイヤル。これは操作性だけでなくデザインの面でもナイスアイデアかな……と。
ラゲッジはボディ後部のBOXが担いますが、「簡単に取り外しが可能なので、アレンジ次第で様々な用途に使えます」と教えてくれました。実際にTV-CMではサーフィン、農家、移動販売車、一人キャンパー、人力車の代わり、そしてモータースポーツなどの提案など、まさにユーザーの数だけアイデアが生まれそうな予感がします。
開発者は「用途の1つですが、弊社はダイチャレを主催していますので、より気軽にモータースポーツができる存在になってくれるといいですね」といいます。
そんなミゼットXの対極となるモデルが、軽スペシャリティモデルの「コペンコンセプト」です。すでにダイハツから2代目が2026年8月に生産終了の発表が行なわれていますが、「再びコペンを世の中に送り出せるよう、様々なスタディを続けております」と語っています。
その1つが “コレ”と言うわけです。前回のJMSにヴィジョン・コペンがお披露目されましたが、今回のモデルはその進化版と言うモデルです。FRレイアウトはそのままにディテールなどはより量産に近づいた印象かな……と。
現在ダイハツはダイハツ・ガズーレーシング(DGR)の名の元のモータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりを進めていますが、そこで得た知見・ノウハウはこのクルマの市販版にも確実にフィードバックされるはずです。こちらの市販化も楽しみです。
また、東京オートサロン2025でお披露目され大注目だったミライースGRスポーツの市販化も、是非とも実現してほしいです(今年のK4-GPでプロトタイプを走らせましたが、速い、軽い、楽しい!!)。小さいクルマだからできること、とても楽しみにしています。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

























































































