先進技術だけじゃない、自動車メーカーが過去のクルマを大事にする理由とは

メルセデス・ベンツ、ポルシェ、そしてトヨタなど歴史のある自動車メーカーの多くは過去の車両を展示する博物館を持っています。1933年に創業した日産自動車もそのひとつ。そもそも、自動車メーカーはどうして過去の車両を残しておくのでしょうか?

歴史のある自動車メーカーの多くが所有する過去車両を展示する博物館

 メルセデス・ベンツ、ポルシェ、フォード、そしてトヨタなど歴史のある自動車メーカーの多くは過去の車両を展示する博物館を持っています。1933年に創業した日産自動車もそのひとつ。同社は神奈川県座間市に「日産ヘリテージコレクション」という過去の生産車両やモータースポーツ車両などを保存する施設を所有し、一般公開もおこなっています。

約300台もの日産ヘリテージコレクション展示車両

 自動車メーカーのミュージアムには「メーカーを問わず幅広く歴史的車両を展示する施設」と「自社の過去の車両を展示する施設」の2タイプに分かれますが、日産は後者。実は日産ヘリテージコレクションの車両は展示・公開するために集められたのではなく、あくまで過去の遺産を保管しておくことを目的とし、その一環として公開もされているという位置づけなのです。

 コレクションホールに足を踏み入れると、その規模の大きさにも驚かされます。たとえばトヨタ博物館に展示されている車両は「約140台」、メルセデス・ベンツ博物館は「160台以上」と公式ウェブサイトで説明しています。

 しかし日産自動車グローバルブランドエンゲージメント部の中山さんによると、日産ヘリテージコレクションは「展示して見られる状態の車両が280~290台」とのこと。その台数の多さは圧倒的で、見ごたえたっぷりです。ちなみに、バックヤードも含めれば約450台の車両を保管。中山さんは「いまもどんどん増えているのでレストアが追い付かない」と言います。

新車メーカーがなぜ過去のクルマを大事にするのか

 そもそも、自動車メーカーはどうして過去の車両を残しておくのでしょうか?

レストアされた車両の同乗試乗体験も運がいいとできる

「日産はものづくりの会社です。生産されたクルマは、私たちの技術力やデザイン力の全てがつまっており、まさにNISSAN DNAそのものです。そのDNAを継承し、次の新しいクルマづくりに役立てる一方、できるだけたくさんの方にこの”NISSAN DNA”に触れていただくきっかけとなるように」

 日産ヘリテージコレクションの公式ウェブサイトにはそんな狙いが書かれています。

 また中山さんは「過去の車両は守る価値があるからです。守っていかないと、どこかで世の中から消えてします。だから大切にして未来に残していくのです」と教えてくれました。

 保存されているコレクションはダットサンブランドのトラックや乗用車など日本の自動車産業黎明期ともいえる戦前の生産車からはじまり、戦後の日本の自動車の発展を支えた市販車、実験車両やモーターショー展示車両、そしてモータースポーツ車両など多岐にわたります。

 40代の筆者(自動車ライター工藤貴宏)は、自身が物心つきはじめたころからクルマ好きに成長していく1980年代から1990年代前半にかけて家で使っていた車両(ケンメリ、ジャパン、そしてR30型スカイラインやA31セフィーロ)、また免許を取得してはじめて買ったS13シルビアなどを見てノスタルジーを感じました。

 日産の創業以来の主要モデルが展示されているので、ここに来ればどの世代でも同じ感情を得ることができることでしょう。ちなみにここに保管されている市販車両の7割以上は、軽い整備を施すだけで走れるコンディションだそうです。

歴代スカイラインやシルビアも!日産ヘリテージコレクションを写真で見る(41枚)

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