マツダ新型「CX-5」初公開! ディーゼルエンジンは非搭載? 物理スイッチ“ほぼなし”の「心機一転」仕様? 大人気SUVどんなモデルに?
マツダは2025年10月29日に「ジャパンモビリティショー2025」にて、同年7月に欧州で初公開した新型「CX-5」(欧州仕様車)を、日本はもちろん世界で初めて一般ユーザー向けに公開しました。どのようなモデルとなっているのか、工藤貴宏氏が解説します。
ついに姿を表したCX-5どんなモデル?
「ジャパンモビリティショー2025」で日本初公開されたマツダ新型「CX-5」。展示車両はあくまで日本仕様ではなく「欧州仕様」とのことですが、筆者がまず感じたこと。それは「やっぱりディーゼルエンジンの搭載はないんですね」でした。

CX-5といえば、日本において高い人気となっている最大の理由は「サイズも価格もコスパもちょうどいいこと」ですが、ディーゼルエンジンの存在も一役買っていることは間違いないでしょう。
いま国産ライバルにはディーゼルエンジン搭載車がなく、その魅力は筆者も現行世代CX-5のディーゼルエンジン搭載車を所有していたからよくわかります。
しかし新型の欧州仕様にディーゼルエンジンの設定はなく、現時点で明らかになっているのは排気量2.5リッターのガソリン自然吸気エンジンにモーターを組み合わせた“マイルドハイブリッド”がまず用意され、追って2027年以降に「スカイアクティブX」の後継となる特殊な燃焼方式のガソリンエンジン「スカイアクティブZ」に大きなモーターを組み合わせた“新しいハイブリッド”が加わるということ。新しいハイブリッドは、フルハイブリッドと思われます。
日本仕様に関してもマツダ関係者からは「ディーゼルを用意する」という声は聞こえてきません。マツダは4気筒ディーゼルを終了するロードマップを明らかにしていることもあり、腎形CX-5は日本仕様においてもディーゼルが用意されないと考えるのが自然でしょう。
ただし、2027年以降に追加される“新しいハイブリッド”は「電駆技術(電動駆動技術=モーター)のサポートと豊かな低速トルクと伸びの良さを両立」と説明されているので、燃費の良さや価格面まで含めて従来のディーゼルから不満なく乗り換えられるパフォーマンスとなっていることを期待したいところです。
そして新型CX-5に関して筆者がもうひとつ感じたこと。それは、インターフェイスの大革命です。マツダがあれだけこだわっていた「タッチパネルではなく物理スイッチへのこだわり」と「視認性のために遠くへ置いたモニター」をやめ、ついに物理スイッチを大幅に廃止しつつ大きなディスプレイ(12.9インチもしくは15.6インチ)をドライバーの近くへ置き、タッチパネル操作への大転換を図ったのですから。
現在のマツダの市販車は「CX-60」や「CX-80」などラージ系をはじめ2023年秋の大規模マイナーチェンジ以降の「ロードスター」など多くの車種は停車時でもタッチパネル操作ができない仕様。ラージ系モデルに関しては、ハードウェア自体はタッチパネルが組み込まれていて海外向けのみAndroid AutoやApple CarPlay時のみタッチパネル操作が可能なだけで国内仕様は許可されていないという不思議な状態を頑なに守っています。
車載ナビをはじめとする車両のインフォテイメント操作は「その操作を前提」としてつくられているので物理スイッチ系の操作で全く問題ない(むしろ操作しやすい)のですが、タッチ操作を前提に構築されたスマホ接続時は「タッチ操作禁止」だと本当に使いづらいんですよね。
でも、新型CX-5はそんな現在の方針から「タッチパネル操作ありき」へと大転換というわけ。エアコン操作用の物理スイッチパネルすらないのだから驚きです。筆者的には急激に先へ進み過ぎのような気もしますが……(物理スイッチとタッチパネル操作の両方を搭載してユーザーが好みに応じて使い分けられるのがベストと考える)。
新型のインフォテイメントは車載Googleとのことなので、ナビなどの操作だけでなくエアコン操作まで音声でおこなえ、従来に対して手を使う必要がないという前提はあるでしょう。ただ、これまでのマツダの“こだわり”をひっくり返していることを考えると、すぐには消化できないマツダファンは少なくないかもしれませんね。
ところで、新型CX-5は従来モデルとパッケージングも成長しました。具体的にいえば従来モデルの一部ユーザーから不満の声が聞こえていた“後席”と“ラゲッジルーム”の広さが拡大されたのです。
具体的にいえば新型の後席ひざ回りスペースは現行モデルに対して64mmも広がり、頭上空間も29mmも拡大。後席の足元に機内持ち込みサイズのキャリーバッグを置けるそうです。
拡大されたラゲッジスペースには大型スーツケースを4個置け、また畳んだベビーカーを縦方向に寝かせて置くことも可能。欧州仕様の全長は4690mmと現行モデルに対して115mm拡大(全幅は1860mmで15mmの拡大)していますが、そのアドバンテージは実用性の向上にあるというわけです。
いずれにせよ、マツダブースに展示されている新型CX-5(の欧州仕様)はモビリティショー2025において必見の1台。忘れずにチェックしましょう。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。














































































