「クマだ…!」 もし運転中に“見つけた”場合どう逃げる?「クルマの中」は安全?「バックで逃げちゃダメ」って本当!? “熊”に遭遇した時の「正しい対処法」とは!
2025年、過去最悪のペースで人的被害の出ている「クマ」。もしクルマを運転していてクマに遭遇した場合、どのように対応するべきなのでしょうか。
「クマだァァ!」 もし運転中に“見つけた”場合どう逃げる?
例年、クマの冬眠準備が始まる10月から11月にかけてはクマの目撃情報が増加しますが、2025年は特に深刻な事態となっています。
市街地への出没が急増し、人身被害の件数も多発。環境省によると、2025年4月から9月の半年間で、重軽傷者を含むクマ被害者は全国で計108人に上り、これは過去最悪だった2023年と並ぶペースです。
さらに、今年度のクマによる死亡者数はすでに9人に達し、過去最多を更新しています。
では、クルマを運転しているときにクマに遭遇した場合、どのように対応するべきなのでしょうか。

この2025年にクマ被害が急増している背景には、複数の要因が複合的に絡み合っていると言います。
一つ目の要因は、「記録的な少雪の影響」です。
偏西風の蛇行によって、東北や北海道などで積雪が例年より減り、クマの冬眠期間が平均で10日から14日も短縮しました。
また、雪解けが早まったことで、主食の一つであるブナ帯の堅果が発芽・腐敗し、可食性が低下。
これらにより、クマが人里周辺へ移動するタイミングと、人間の山菜採りや畑作業といった春作業が重なり、遭遇のリスクを高めたと推定されています。
二つ目の要因は、「餌不足の影響」です。
東北地方などでは、クマの栄養源であるドングリなどの凶作が報じられており、冬眠を前に餌を求めて人里へ出没する可能性がさらに高まっています。
三つ目の要因は、「人に馴れたクマの増加」です。
さらにこれらの要因にくわえて、「耕作放棄地の増加」や「高齢化による管理不足」など、人間側の環境変化も、人里周縁部がクマの新たな生活環境となる一因となっています。
こうした状況下では、山間地域や郊外の道路を走行するドライバーも、クマとの遭遇は決して他人事ではありません。
クマの出没は、冬眠明けの4月と、冬眠前の餌が必要な11月前後に多発する傾向があります。
クルマを運転中にクマに遭遇した場合の対処法について、JAF(日本自動車連盟)北海道本部・札幌支部事業課の担当者は過去の取材で以下のように説明しています。
「クマを見つけたら、まずぶつからないようにスピードを落とし、クマを回避しつつ警察に通報し情報提供するのが望ましいです。
そして何よりも重要なのは、クマを見かけても近寄らないようにすることです」
このように、珍しいからといって、クルマを停めて観察する行為は厳に慎むべきなのです。
また、北海道のヒグマ対策室の担当者は、クマがクルマに驚いて威嚇することがあっても、「クルマの中にいる限りは安全」であるため、「冷静にその場から離れること」を推奨しています。
そして「クラクションを鳴らす行為」はクマを興奮させ、危険につながる可能性があるため避けるべきです。
SNSなどの一部で出回っている「バックで逃げてはいけない」という情報については、根拠がないとのこと。
さらに、もしクルマを降りていて、歩行者としてクマに遭遇してしまった場合は、目を離さずに静かに距離を空けることが基本。
通常、クマも警戒して人間と距離を空けてくれることが考えられますが、大声を上げて逃げ出すとクマを興奮させてしまうため、かえって危険です。
そのほか、登山や釣りなどでクマの生息地に入る際には、万が一に備えてクマ撃退スプレーを携行することが推奨されています。
クマ撃退スプレーは、もし襲われた際には非常に有効な手段となるでしょう。
※ ※ ※
気温が下がり、紅葉が見頃となる秋の行楽シーズンは、アウトドアレジャーの機会が増えます。
しかしクマの出没が増加するのも、この時期です。
万が一クマに遭遇してしまった際は、パニックにならず、落ち着いて冷静な対処を心がけることが大切です。
Writer: くるまのニュース編集部
【クルマをもっと身近にするWEB情報メディア】
知的好奇心を満たすクルマの気になる様々な情報を紹介。新車情報・試乗記・交通マナーやトラブル・道路事情まで魅力的なカーライフを発信していきます。クルマについて「知らなかったことを知る喜び」をくるまのニュースを通じて体験してください。


















